溜まりに溜まっている患者さんのアンケートをご紹介。
だいぶ前のアンケートになりますがご紹介したいと思います。
今日ご紹介する患者さんは30代女性。
通院しているのに良くならない症状に悩み、わざわざ関東地方から受診されました。
うちの診療所は自由診療。
保険診療の肛門科に比べると治療費が高いです。
だからまずは保険診療の肛門科に行ってから、治らなければ受診しよう・・・という流れで来られる方が多いです。
そこでビックリすることが時々あるのですが、診断が全く違うことがあるのです
この患者さんもそうでした。
肛門ポリープと診断されていましたがいぼ痔(痔核・脱肛)でした。
患者さんもビックリですが、私もビックリ
こういう「診立ての違い」は専門外の先生でよく起こります。
肛門科と看板に書いてあっても専門とは限りません。
医師免許さえあれば誰でも肛門科の看板を掲げることが出来るので、看板は専門性を表さないことに注意が必要です。
専門の先生にかかっておられる患者さんにおいては、ビックリするようなことはありませんので、是非とも専門の先生を探して受診して下さいね。
探し方はこちらのサイトに詳しく書きました↓
日本の肛門科の歴史と現状〜専門の医師を見分ける〜
この患者さんは脱肛だけでなく時々切れるを繰り返していました。
だから酸化マグネシウムを処方されていたのですが、薬を飲んでいるにもかかわらず症状は変わらず、飲んでいても切れる
酸化マグネシウムは便をやわらかくする薬です。
これから作られる便には効きますが、既に出来上がって出口に下りてきている便や、出し残した出残り便には効きません。
だから毎日せっせと飲んでいるにもかかわらず出始めだけは硬かったんです。
その出始めの便で切れる。
そして切れた傷に残った便が付く。
傷は治らない。
その残便サイクルを断ち切らなければ切れ痔は決して治りません。
そして時々いぼ痔(痔核・脱肛)が腫れていたのも便がたくさん残っていたから。
この患者さんのように診察で残った便を出すのに坐薬だけでは事足りず、何度か便出しをしてもらうことがしばしばあります。
この患者さんは2回でしたが、5〜6回かかることもあります。
さすがに肛門もお腹も疲れてくるので、休み休みやることもしばしば。
そうなると2時間くらいかかってしまうこともありました。
肛門に便を溜めたまま帰ってもらっても、翌日に全部出るという保証はないし、今までと同じようにずーっと残り続けると何も変わりません。
だから空っぽにしてから帰ってもらっています。
持ち帰りウンコは治療の妨げになるので
この考え方と治療方針を理解して下さる患者さんは、このアンケートに書かれているように
「2回も便を出してもらうことになり、かなり時間もかかってしまい申し訳ない気持ちと同時に、一人の患者に対してこんなに丁寧で親身になって対応して頂けたことに感動しました。」
となるのですが、全く理解できない患者さんにとっては迷惑な話
何度も浣腸をされた
何度もトイレに行かされた
と苦情を言ってこられる方も本当にまれにおられます。
だからどんな人に来てもらいたいかを明確にすることはすごく大切。
お互いのために。
だからずっとこのブログで発信し続けています。
ホームページにも便通のことを書いているし、予約の時にも電話でお伝えしています。
そろそろ新規の患者さんの枠を取る余裕が無くなってきているので、ブログを読み込んだ人以外受診できないようにしようかと考え中。
高いお金払ってせっかく来てもらったのに、治療も考え方も合わなかった・・・となるとお互いに時間とお金の無駄になるので。
で、このアンケートを書いて下さった患者さんには続きがありまして、ずっと調子よかったのですが、いぼ痔(痔核・脱肛)が腫れて戻らなくなり、手術を受けられました。
遠方でしたが日帰り手術を受けて完治し、今は年に1回のオシリ健診で来られています。
遠方の人には地元の専門医を紹介し、そこで手術を受けることをオススメするのですが、遠方の人に限ってなぜかうちで受けられます。
通院の交通費も大変なのに・・・。
本当にありがたいことです。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
ラブに会えるのを楽しみに
オシリ健診に来られる患者さんも多いです
土曜日は不在ですのでご注意を
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