溜まりに溜まっている患者さんが書いて下さったアンケートを今日もご紹介。
だいぶ前のアンケートになりますがご紹介したいと思います。
今日ご紹介する患者さんは40代女性。
治らない裂肛に悩み遠方から来られました。
この患者さんに限らずですが、「治らない切れ痔」「治ってもまた切れるを繰り返す切れ痔」には必ずと言っていいほど「出残り便秘」があります。
医学的には「直腸性便秘」になるのですが、患者さんに分かりやすく説明するために「出残り便秘」と名付けました。
詳しい解説はコチラ↓
出残り便秘・鈍感便秘 〜その残便感は便秘かもしれない〜
残った便は時間が経つと便中の水分が直腸から吸収されて硬くなります。
翌日には古く硬くなった便が肛門を占拠してます。
そして奥からは本日の新しい便が下りてきて二段積みの状態に。
出始めの便は昨日の出残り便。
その奥の便は今日の出来たてホヤホヤ便。
出始めの硬い便で肛門が切れます。
そして残った便が傷に付きます。
便で汚染された傷は中々治りません。
傷が炎症を起こし腫れ上がると「見張りイボ」や「肛門ポリープ」が形成されます。
そうやって切れ痔(裂肛)が慢性化すると肛門が狭くなっていきます。
狭くなるとやわらかい便でも排便時に痛みを感じるように
狭くなってしまった肛門は拡げないと切れ痔が治りにくいので治療にも時間がかかってしまう。
だから切れ痔は悪化する前に治療したい疾患。
ちょっと切れただけなら数日で治るから。
切れ痔の患者さんは「便秘だ」という自覚があるからか、この患者さんのように便通を良くしようと色々頑張っておられることが多いです。
でもその頑張り、ぜ〜んぶお腹(腸)に効いてるんですよ。
出口の肛門には効いてません
問題は出口の肛門で起こっているのに腸に効くことを頑張ってるから、いくら頑張っても切れ痔が治らなかったんですよ。
出口の排泄でつまづいているのに何を飲んでも食べても変わらない。
ちゃんと便を出そうよ
ただそれだけなんです。
そんな単純で当たり前の事ができてないから切れ痔になる。
治らない。
一旦治ってもまた切れる。
そんな患者さんを大勢診ています。
だって皆さん、薬だけ使って便通を治してないんですもん
その便通、治さないと根本的に解決しませんよ。
大部分の患者さんが2回目の通院で切れ痔が治って治療終了となるのですが、切れ痔は治っても便秘は治ってません。
だから便秘の治療、排便の管理は患者さんがこれからも生活の中で続けていかないといけないんです。
それがいつまで続くのか、人によります。
便を溜めて生きてきた年数だけ便秘治療にかかる
とお話していますが、患者さんによって随分違いますね。
毎日ずーっと使っている人も多いですし、1年くらい使ったら便秘が治って坐薬を入れても何も出なくなったから今は月に1回くらいしか入れていないという人も増えてきました。
坐薬は薬ではないので、ずっと使い続けてもクセになりませんので安心して使って下さい。
そもそもクセになってるのは便を出し残すこと、便を溜めること。
その残しグセ、溜めグセが治れば坐薬は必要なくなります。
毎日の歯磨きと同じように捉えていただいたらいいでしょう。
虫歯になってから歯磨きを始める人はいませんよね
虫歯にならないように歯磨きをしてるはず。
それと同じように切れ痔にならないように坐薬を使う。
そう考えたら負担にならないかと思います。
どうか頑張って続けて下さいね。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
土曜日以外は診察室に居ます
カゴの中で寝ているので
遠慮なく起こして下さいね
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