口唇ヘルペスが肛門にうつる?! | みのり先生の診察室

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肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

一昨日、昨日に引き続き、今日も肛門ヘルペスのお話です。

ちょっと難しいですかね?^_^;

できるだけ分かりやすい説明を心がけているつもりですが、

どうしても専門用語が必要になってしまいます。

曖昧な理解じゃなくて、しっかり知って欲しいので、とことん書こうと思います。

なぜなら

肛門ヘルペス=性病とは限らないからです。

性病だと決めつけられて傷ついている人もいますし、

家族内でトラブルになることもあるからです。

あんた!
浮気したやろ!!
どこでうつされたん?!


って、夫婦げんかが始まったこともありますから^_^;

いや、冗談じゃなくて本当のお話です。

だからちゃんと理解して下さいね。


まず復習しましょうか。

昨日までのお話、理解できてますか?

もし分からなかったら、面倒くさがらずにもう一度読んで欲しいんです。

肛門や陰部に出来るヘルペスは単純ヘルペスウイルスが原因です。

単純ヘルペスウイルスには1型2型の2種類のウイルスがありましたね?

ヘルペスウイルスはヒトに感染すると神経節に棲み着きます。

1型は顔面にある三叉神経節に、2型は腰の所にある仙髄神経節に棲み着きます。

健康であれば何も悪さはしません。

免疫が低下したときに活動し始め、潜んでいた神経節から出てきて、神経の支配領域に発疹を生じます。

1型口唇ヘルペスを生じ、2型肛門や陰部ヘルペスを生じます。


さて、ここから考えて下さい。

昔、子供の頃に口唇ヘルペスになったことがあるという人も多いと思いますが、

この口唇ヘルペス、1型、2型、どっちの感染でしょう?

それはその時には確かめようもありません。

遺伝子検査すれば分かりますが、そんなこと普通しません^_^;

1型、2型、どっちも感染する可能性があるんです。

もしも子供の頃にかかった口唇ヘルペスが2型のヘルペスウイルスだったら、そのあとどうなるでしょう?

2型のヘルペスウイルスは仙髄神経節に潜伏しますよね?

そして免疫が落ちたときにどこに出ますか?

そう。

陰部や肛門です。

陰部や肛門にヘルペスなんてかかったことがなかったのに、

性行為でうつされてもないのに

いきなり陰部や肛門に出てくることもあるんです(;。;)


寝たきりの高齢者の方に繰り返し出てくることもしばしばあるんですよ。

だって、免疫落ちてますから・・・。

それを性病!って言ってしまうと、ご家族の方も???ってなりますよね?

何も高齢者に限ったことではありませんよ。

女性の場合、生理の時に繰り返しなっている人も多いです。

また睡眠不足や過労、ストレスで免疫が落ちると、いつもヘルペスが出てくるっていう人もいますよ。

もちろん性行為は介していません。

自分の体の中に棲み着いていたウイルスが活性化されて出てきてるだけですから。

誰かからうつされたわけじゃないんです。

浮気したわけじゃないんですよ^_^;

患者さんの名誉のためにも理解できるまで説明してます^_^;

口唇ヘルペスが肛門にうつるのではなく

昔かかった口唇ヘルペスのウイルスが2型のヘルペスウイルスだった場合、

次に出てくるときは陰部や肛門に出ますよ
ってことなんです。

それにね・・・

発疹を見れば

うつされたのか、
棲み着いていたウイルスが出てきているのか


だいたい分かります^_^;

だって、全然発疹の程度が違うんですもん。

性行為でうつされた場合は、特に初感染の場合は発疹が派手です。

痛みも半端ないことが多いです。

アナルセックスをしている場合は肛門の中にも発疹があります。

外傷性の裂肛(切れ痔)を伴っていることも多いです。

それに反して体に潜んでいたウイルスが出てきている場合は、

発疹が地味です。

痛みの程度も軽いです。

何度も繰り返している人は自分で分かってる人が多いです。

あ、また出てきたな・・・

って。

そして

休まなきゃ・・・

ってなるわけです。

休んで免疫を上げなければなりませんからね(*^_^*)



ちょっと専門的なお話になりましたが理解できましたか?



「肛門ヘルペス=性病」って決めつけないで下さいね。

昔かかった口唇ヘルペスが

2型のヘルペスウイルスだったら

潜伏して再活性化されて出てくるときは

次は陰部や肛門に出ますよ。

性行為は介してませんよ。


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