講習さえ受ければ誰でも使える注射療法 | みのり先生の診察室

みのり先生の診察室

5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

(2019年6月16日加筆修正)

反響が大きいので今日も注射療法について書きます。

患者さんからもたくさん質問を受けて、自分がやってもいない注射療法について説明しています^_^;

私が注射療法をやらないワケ以前のブログにも書きました。

後障害の話も書きました。


でもね・・・

うまくいってる人だってたくさんいると思うんですよ。


うまくいってる人は私の外来には来ないわけだから、私には見えないんです。

きっと注射療法が得意な先生や上手な先生もいっぱいいると思います。

そんな先生にやってもらった患者さんは幸せだと思いますし、「やって良かった!」と思ってるでしょう。

なんで同じ注射療法でもこんなに天と地ほどの差が出るのか?

それは注射療法をやる医師の技術に差があるからです。

そんなこと当たり前ですよね?

手術だって注射だって、誰にやってもらっても同じだったら「技術って何?」って思いませんか?

誰がどのようにやるかで結果は違うんです。

それが「腕の見せ所」みたいなもんです。

だから上手な先生に受けて下さい。

肛門を専門にしている先生を選んで下さい。

肛門のことを一生懸命まじめにやっている先生を探して下さい。

きっとあなたの近くにも一人くらいいるはずです。

blog100

診療所のセラピードッグ「ラブ」
フードを前に「待て」中のラブ
「ごはんまだかなあ~・・・」
15分くらい待てるようになりました(^_^)v



9年前にジオン注射が導入された時は「肛門科の専門医に限る」という制限があり、ごくごくわずかな肛門科医だけに使用が許可されていました。

ところが、

どんどんその適応範囲が広がっていって、

肛門を専門にしない外科の先生も、

今では肛門の手術をしない内科の先生も、

遂には全く別の科である産婦人科の先生も、

「簡単な講習さえ受ければ明日から使えます!」という甘い謳い文句で、どんどん販路を広げていきました。

先輩の産婦人科のドクターが

「『先生も痔核治療しませんか?2日間だけ簡単な講習を受ければすぐに注射を使って頂けますよ。』と製薬会社のMRが勧誘に来た!」

と言って憤慨されてました。

「私は産婦人科医なのに、どうして私に痔核の注射薬を売りに来るの?肛門なんて診たこともないし、勉強したこともないし、そんな門外漢に注射療法させて何かあったら誰が責任取るの?私は産婦人科医だから絶対にやらない!そんなのおかしいと思うわ!」

と私の先輩の産婦人科医は専門性のことを強調されていましたが、肛門診療も取り入れたら売り上げ増につながるからという理由で、ジオン注射を導入した産婦人科医もいると残念そうに話されていました。

「何もトラブルにならなかったらいいけど・・・。結局、肛門科の先生にも迷惑かけることになるし、一番迷惑を被るのは患者さんだから・・・。」

と心配そうに言われていました。

実際に私の外来に来られているジオン注射の後遺症の人のほとんどが、専門外の医師による治療を受けられていました。

肛門科は外科の一領域ですが、「外科=肛門科」ではありません。

ましてや産婦人科は肛門科とは全く別の科です。

内科は手術をやらないので外科とも肛門科とも違います。


あなたは肛門科の先生にかかっておられますか?

肛門科を専門にしている先生ですか?

できるだけ専門性の高い医師を選んで下さいね。