貧困から脱出した人類が、かつて成功した体制そのものを否定
産業革命の成功は単純化、反復化、低価化
このような産業革命時代の成功の経験と信仰的信頼から、社会は今でも過去の分業体制を当然視し、学生をこの分業社会の専門家に育てるという目標の下、学校では教育をして技能を磨き、資格を取らせることに全力投資していると言える。
しかし、これまであまりにも当然視されてきたこのような社会的基準と伝統は、すでにその効力を失っている。
むしろ変換された世の中で、若い人々が社会に適応することを妨げる副作用まで誘発するケースを難なく発見できる。
一方、このように生産活動を行う力の根源が機械に転換されるにつれ、自然に人間の役割は補助的な位置に変わってきた。
実際に、人々が担わなければならない仕事の種類や役割はもちろん、処理方法まで、それ以前とは完全に変わってきたのである。
仕事を処理する際に必要な動力(力)は機械が専担するようになり、処理対象の識別、処理方式の指定、処理結果の判別などの補助的な役割は人の役割になったのである。
このような役割を今日の基準で表現すれば、「情報処理能力」と言える。
機械化で貧困と窮乏から脱出
わずか2世紀の短い産業革命の歴史の間、人類は大部分貧困と窮乏から脱出することができた。
この2~30年で機械技術文明の発展はさらに加速し、物質的にかなり高い豊かさを享受する人々が続々と出現し、グローバル・ヴィレッジを占領し始めた。
ところが多くの人が享受し始めた物質的豊かさが、以前とは違う危機をもたらしているのである。
ほとんどの人は，今食事をしたり、服を着たり，必要なものを買うだけでは満足しない。
日常生活や消費活動で、他人とは違う自分だけの個性を尊重されたがっている。 一言で消費生活においても人間らしい待遇、すなわち人間性の回復を主張しているのである。 一見すると，それぞれが個性を発揮しようとすることはたいしたことではないように思えるかもしれない。
消費形態の個人化（Individualization）
しかし、多くの人々が自分のスタイルを主張し、消費生活も市場の構造も多様化しており、この過程で自然に以前とは次元の違うレベル、すなわち高度化現象まで触発されているのである。
些細なことのように見えるこのような現象が、生産の側面からは非常に深刻な問題を物語っているのである。
物資が不足していた時代にすべての成功の原動力だった単純化·反復化·大量化(低価格化)方式では、個性化した消費者が望む物をこれ以上作れなくなったのである。
それとともに、以前の成功神話がもはや作動しなくなっている。
社会的役割の側面から見ると、全ての人が消費者でありながら、同時に生産者であると言える。
ところが、所得が上がり物質生活が豊かになった消費者が購買する時は、これまで自分の職場で生産者として作ってきた個性のない商品やサービスをこれ以上購買しないということである。
そのため、工業化時代の象徴のような巨大な企業も、ある日突然廃業に追い込まれ、私たちの周辺の会社員も一瞬にして職を失うことを、難なく目にすることができる。
今や、かつての成功の法則が、ひょっとすると失敗の近道となっているかもしれない。
しかし、このような失敗を招いている原因提供者が、他の誰でもない私たち自身であるという点に注目しなければならない。
自ら変わってしまった私たちの消費性向が、生産者の役割で食べ物を解決してくれたありがたい私たちの職場を崩壊させ、社会的大変革をもたらしているのである。
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