ノーコードソリューションとローコードソリューションはどのように異なるのか?
ローコードは、既存コーディング体制の延長線上の技術
第四次産業革命が続く中、新型コロナパンデミックまで襲い、いま深刻なソフトウエア開発者不足が発生している。 今や急増しているアプリ開発の需要を解消することが、人類共通の課題となったのである。
このような問題の解決策として浮上した技術が、ローコードソリューションとノーコードソリューションであるといえる。
ローコード技術は、人類が長く発展させてきたコーディング技術の延長線から出発しているといえる。
これまで蓄積されてきた技術と経験を十分に活用し、できればコーディング作業を最小限に抑えながら、必要な産出物をより短い時間で費用も少なくして開発する技術とソリューションを作り出すために努力している。
そんな技術市場の変化に対応するために、マイクロソフトは「パワープラットフォーム」を、アマゾンは「ハニーコード」を、グーグルは「アプリシート」を、オラクルは「エイペックス」というソリューション製品を発売するなど、グローバルベンダー各社はいち早く市場の先取りを図っている。
ローコードソリューションは、特定開発分野で以前よりもかなり高い生産性と成果を出しているのも事実である。 エンジニア性向の人たちを新たに開発者として参加させる効果もある程度期待できる。
しかし、ローコードソリューションは以前コーディング方式の基本枠をそのまま維持しており、最終産出物であったアプリ製品の性能や効果を根本的に革新する観点よりは、アプリを速く安価に作り出す作業ツールの改善に主眼を置いている。
特に、少数の技術者性向の集団以外、大部分の人は依然、アプリを開発や活用することから疎外しているといえる。
そして、今急増しているアプリの需要を賄うために必要な開発者の確保やソフトウェア不足現象を解消する有効な処方にはなっていない。
ノーコーディングは出発点と目的地が全く異なる技術
市民開発者(Citizem Developer)
ノーコードソリューションはソフトウェアの不足問題の解消という目的は似ているが、この問題を解決するために選択した方法や戦略、そして最終目標はローコードソリューションと全く異なる。
プログラムコーディングに対する学習経験が全くなく、エンジニア的適性及び資質とも関係のない絶対多数の一般人を主要使用者層(Citizen Developer)にターゲティングしているという点である。
文字通り、伝統的なプログラミング技術であるアルゴリズムとコーディング作業を完全に排除して初めてノーコード技術を実現できるようになる。
それで誰でも簡単に学ぶことができ、産出物を早く作れる。 アプリが必要な人々が自ら作って使う新たなパラダイムへと転換するようになったのである。
特に重要なのは、ノーコードソリューションはこれまで、一般人は目で見ることもできず、手で触れることもなく、難解であり、ややこしく、予測も困難なコーディング(ローコーディング含む)という生産体制を抜本的に改善する技術であるといえる。
ノーコード技術は最初の分析及び設計する段階の作業はもちろん、デザインされたスペックと中間作業過程や、最終結果物すべてをビジュアルなグラフィックオブジェクトと一般文書形式で処理する。
したがって、誰もが作業の進捗状況や産出物の機能や適合性、そして予想作業時間まで透明に分かることから、ソフトウェア工学に新たな革命が起きたと評価する人も多い。
ノーコードはローコードの出発点と目的地が全く異なる技術
そのため、開発対象業務についての豊富な経験やノウハウ·知識を持つ人々が直接設計·実装することができる。
アプリの性能や現場適用性及び適用による革新効果も、それ以前とはレベルの違う非常に高いレベルを実現させてくれる。
ノーコードソリューションでアプリを開発する場合、SI 事業プロジェクトで分析及び設計業務を多く行った経験者が最も有利である。
しかし、アプリに盛り込まれる機能や効果、使いやすさのみ集中する作業であるので、該当業務を直接担当する現場の実務者や関連分野を専攻した人も、うまく使える。
このように、ノーコードソリューションは、アプリのコーディングという「技術問題」から離れ、対象業務「知識問題」へと置き換えることになり、開発主体さえもプログラム専門技術者から現業の実務担当者に代わる革命的な変化をもたらすことになる。
ノーコードは需要者が先に選択して変化をリードする
企業や機関である物を購入する際に、一般的にその物の用途と購買目的、使用価値及び効果と負担する予算の水準を基準に、その業務に最も詳しい経営者や購買責任者が最終意思決定を行う。
しかし、アプリのようなソフトウェア開発業務の場合には、そのような購入原則のほとんどが守られていない。
アプリ開発への投資が他のどの経営業務よりも非常に重要になった今日、経営者がその事案をきちんと把握・判断して決定できないというのは、他の何よりも深刻な問題といえる。
どのアプリを開発するかの可否はもちろん、開発範囲をどこまでするか、納期はいつまで行い、作業はどのようなやり方で行うのか。 重要な意思決定を行う必要がある。
しかし、目で見ることもできず、手で触ることもできず、難解で複雑で値段も非常に高いコーディング技術のため、経営者や購買責任者が実質的な意思決定者としての役割を果たせなかったのだ。
一般人にはよくわからないコーディング技術が水面下で、事実上その影響力を行使することで、開発する対象業務を直接管掌することもなく、当該分野に専門知識や開発を推進する根本趣旨もよく分からず、責任も持たないIT 部署責任者や、外部委託事業者が、このように重要な意思決定を牛耳ってきたのである。
しかし、前述したように、ノーコードソリューション技術を採用すれば、一般の誰でもアプリを企画·開発する過程や、産出物のレベルや品質などを直接目で見て自ら判断することができる。
それだけでなく、開発に要する時間や費用水準も、より容易に推定·予測できる。 したがって、デジタル化事業と関連した意思決定権を他の購買行為のように経営者や購買責任者に返すことができる。
このように、これまではアプリが使用される最終目的や経営目標よりは、立ち遅れた技術、つまりコーディングシステムに縛られていたといえる。
そこで企業および機関などほとんどの顧客は、そのような投資意思決定の透明性や予測可能性を確保するためにも、ノーコードソリューションを好み、また採用し始めている。
過去にアプリの調達は、プログラム技術とコーディング技術者を有する供給者が中心となって開発事業を提案し、プロジェクトを推進してきており、事後メンテナンス業務まで事実上主導していた。
しかし前述の理由から、ノーコードソリューションは企業や機関など需要者側で先に選択し、アプリ開発プロジェクトも主導し始めている。
したがって、ソフトウェア技術市場の構造も急速に変化している。
デジタル転換によってノーコード技術は大きく拡散中
このような現象は、近年急激に変化する経営環境の中で全社レベルのデジタルトランスフォーメーション(DX)という経営革新を推進したり、限られた予算と限られた人員にもかかわらず組織内部で急増するアプリ開発を積極的に推進しなければならない、多くの需要者集団でより明確になってきている。
そのため、ノーコードソリューションの導入は、需要者側で先導的に導入し、市場をリードしているのである。
各部署内部で使用される局地的機能を持つ単位アプリは、自社内部の実務者を中心に開発し、全社的統合システムやプロセス革新を伴う大規模な統合システムを構築するプロジェクトは、自社が採用したノーコード開発プラットフォームベースで事業を行う外部委託先に依頼する戦略をとっているものである。
多くの需要顧客が、最近第4次産業革命と歩調を合わせてデジタル転換事業を積極的に推進し始め、ノーコードソリューションとノーコード技術市場も急速に拡大している。
ノーコードプラットフォームとノーコード技術を採用した効果比較
伝統コーディング技術やローコードソリューションとは異なり、ノーコードソリューションを採用すると、開発主体が必ずしもコーディング技術に経験者やプログラミングの概念を持つ者である必要はない。
したがって、開発対象の業務についての経験や知識およびノウハウを持つ人々が直接具現化することで、適用効果を極大化するというアプリを作ることができるという点が、最大の差別点だと言える。
ノーコードソリューションは、プログラム実装やテスト作業のほとんどが自動化され、分析や設計作業のみ人が行うことになる。
この作業も、アプリの機能構成やUI/UX デザインに特化した専用ツールを使って、すべての作業過程と算出物がビジュアルなグラフィックと文書形式で処理されるので、複雑なスペック文書や仕様データを別途作成する必要がない。
したがって、ローコード技術に比べ、分析·設計部分の作業工数と時間も80%以上削減できる。
このようにプログラム開発に必要な技術人材と開発期間を画期的に削減できることから、ノーコードソリューションでアプリを開発する場合、プロジェクト遂行に必要な人件費予算を最高95%まで削減することが可能となる。
ノーコードソリューションによりプロジェクト人件費予算を最高95%まで削減
ノーコードはローコードと技術に比べて分析·設計部分の作業工数と時間も80%以上削減できる。
一般的にノーコードプラットフォームは、一度制作されたアプリがすべてのユーザ端末に互換できるクロスプラットフォーム技術を採用している。
1つのプログラムを異なるオペレーティングシステムや端末環境に合わせて重複開発する必要もなく、全体の開発コスト削減効果はさらに大きいといえる。
したがって、今までは必要だったが、技術人材や予算不足で開発できなかった数多くのアプリまで開発できるようになり、アプリ開発市場は以前とは比べ物にならないほど巨大に拡張され、仕事も大きく増えることになる。
今日では、有線及び無線から様々な機種の端末で接続する多くのユーザが、それぞれ異なるアプリ製品を使ってそれぞれの仕事を処理することが、基本的なシステム運営環境であると言える。
ところが機種ごとにセキュリティ管理機能や個人の情報処理方針が次々に変わり、オペレーティングシステムも毎年2~3回以上アップグレードされ、WEB規約やDBMS仕様も頻繁に変更されている。
このような状況で本業に支障がないよう、全てのアプリをメンテナンスする役割は、事業的観点からアプリを作ることよりむしろ重要といえる。
しかし、ノーコードソリューションを採用した場合、各オペレーティングシステムごとに、全ての環境の変化に合わせて必要な機能を改善·補完したクロスプラットフォームを、リアルタイムでダウンロードしアップデートすることになる。 したがって、それぞれのアプリプログラムモジュールを直接修正·補完作業する必要がなく、問題を解決できる。
すなわち、ノーコードソリューションを導入すれば、様々なアプリを同時に運営する場合でも、メンテナンス人員を1~2名以内で最小化でき、メンテナンスコストや労力も1/10以下の水準に軽減できるようになる。
ノーコードソリューションとローコードソリューションのターゲットユーザ層、主な作業対象、保守努力などの項目に対する下表のとおりである。
ノーコードソリューション、 ローコードソリューションの比較表
ノーコード技術ジャーナルは下記のような順序で記述されています。
最も良い方法は順番に読むことを推奨します。
1. [ノーコード技術] なぜ、今...「ノーコードプラットフォーム」ブームが起こっているのか?
2. [ノーコード技術] ソフトウェア産業従事者への深層情報提供が目的
3. [ノーコード技術] ノーコード技術とコーディングの根本的な違いは何か?
4. [ノーコード技術]ノーコードソリューションとローコードソリューションはどのように異なるのか?
5. ノーコード体制を実現するには、何を直すべきか?
6. ノーコードソリューションが、本当にCやJavaの代わりになるのか?
7. ノーコードソリューションの基本的要件は何か?
8. 「ノーコード開発プラットフォーム」が第4次産業革命のエンジンである理由
9. エンタープライズ・ノーコード・プラットフォームの選択基準
10. ノーコード開発プラットフォームは、実務用プログラムの制作に制約のない技術選択が必須