アルジェリアの誘拐事件で一応ちょっとしたコメントを。

 アラブの春以降、アラブ世界にレジーム・チェンジ(政権交代)が相次ぎ、大きな変動があったわけですが、当然政体が代わってそれで生活が良くなったなんていうメデタシメデタシで終わるわけはありません。むしろそれ以後混乱する、不安定になるだろうという見方が強かったのはいうまでもありません。

 今回のきっかけの一つにフランスのマリ介入が挙げられますが、誘拐事件ということにおいてあんまり意味が無いことですね。むしろ不安定化したアラブ・アフリカ社会においてそのような武装勢力・過激派が力を持っていったことに注視すべきでしょう。そもそもマリのどの勢力に呼応して、どんな主張を持っていたか、まるで見えませんからね。それよりは国内の仲間、政治犯の釈放の方が重点・意味合いは大きいでしょう。

 アルジェリアは国土面積は大きい国でも、実際はさばくだらけの点と線の国家。よくある広いけど使える所は少ないという発展が見込みにくい、厳しい地勢の国ですね。今回強硬な鎮圧策に出たのも、テロに弱いと言った背景があるのではないでしょうか?

 テロを断固として鎮圧する方針でないと、頻発する。国家としての体制が保てなくなる故の強攻策かもしれません。まあ国内情勢を知らないので、軍を掌握できていないとかあるかもしれませんけどね。強攻策に英仏が反対したのではなく、「事前通告無し」という点が避難されたという点は認識しておかなくてはならないポイントでしょうね。通告さえすれば特に非難もされなかったでしょうに、なんでむしろしなかったのか気になる所。欧米諸国に対する不信感でもあったんですかね?

 日揮という会社が被害にあったわけですが、今回の事件によって、誘拐・テロリスクが高まるとあれば、他所へ代替地を探さなくてはなりません。需要が他所に流れて更に貧困・混乱といった感じになりそうですけどね。どうなりますかね?またその恩恵を受けられる国なども出てきそうですがどうでしょうか?存外サウジあたりの湾岸諸国はこれでまた石油需要があがって、ホクホクだったりして?


【的外れ、トンチンカンな対応策】

 そして気になったのは今回の事件で自衛隊法の改正が~なんていう話があったこと。今回の誘拐についてなぜ自衛隊が関係あるのか?無論、国防のために軍隊の法整備を進めるということが重要なのは論をまたない話しですが、今回のケースとは全くが関係がないこと。何を言ってるんですかね?

 大体テロリストが大使館でも襲撃して立てこもったのなら、それを鎮圧する特殊作戦部隊でしょう?それにもっと予算を割くとかじゃないでしょうか?普通。今回の事件をきっかけに今後同じケースがいくらでも起こるでしょうし、邦人人質事件で当該国にそういう能力がない場合、特殊部隊派遣を要請されるでしょうし。それに力を入れろっていう主張でしょう普通。

 まあ、だからといって滅多に要請されることはないでしょうけどね。それ以上に重要なのは情報収集能力。有効な情報を絶えず集めといて、そのような危険性を事前に察知しておいて危険ならば通告する、あるいは何らかの対策を周辺国に協力要請すると言ったところでしょうか。

 日本の場合アメリカの方針に追従するという路線で、情報なんかいらん。独自で判断しないから。という
あんぽんたんな思考のため情報収集を放棄しているフシがあります。が、情報というものは優れた諜報機関に勝てないからそこから教えてもらう・お世話になるというだけでは絶対に賄えない要素があります。独自で情報を集めておかないといざというときに動けないし、また同盟国と情報照会をしてより正確な物をつかむという要素がありますし、何より非欧米圏の日本だからこそ入手できるという性質がかならずある。そこで優位とは行かなくとも何らかの重要な役割をはたすことが出来るはず。

 まあ、いつまでたっても中央情報局を作らない国に何をってもどうしようもないでしょうが。


【日本に重要なのは極東・東南アジア・中国での対応】
 そして何より重要なのが、地理的位置関係。どうやっても遠い日本がそこら辺で欧州より軍事行動なり、情報収集なり上に行くことは考えづらい。むしろ彼らにとって手の届かない極東・東南アジアあたりの情報収集に力を入れるべきでしょう。そこでなにか一大事が起こったときに、日本さんお願いしますといわれるようになっておかないと、今回の時のようなケースで日本さんのために頑張らないととギブアンドテイクで働いてくれないわけです。

 中国リスクが高まっていて、中国が万一ポン!とはじけたら欧州の在中企業・人員はまっさきに日本を頼るでしょう。その時何が出来るか、何をすべきか今から考えておくべきだと思いますけどね。