愛知県瓦礫受け入れ処理問題。 | DR.KらくがきBLOG

愛知県瓦礫受け入れ処理問題。


がれき受け入れ、知事に質問状
東日本大震災:がれき受け入れ、知事に質問状
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120331-00000087-mailo-l23
「放射能防御プロジェクト中部」の方々が大村知事に公開質問状を出したそうです。

◎災害廃棄物の広域処理に関する公開質問状 (愛知県版)
(1)産業廃棄物・化学物質・重金属が含まれている瓦礫は一般の処分場で処理できないのでは?
震災によって生じた瓦礫には、アスベスト、ヒ素、六価クロム、PCBなどの、特別管理産業廃棄物、化学物質、重金属が含まれており、これらは完全に分別できません。一般の焼却炉は、産業廃棄物の処理に対応していません。
(2)放射性物質が含まれる瓦礫は一般の処分場で処理できないのでは?
焼却所のバグフィルターは、放射性廃棄物の焼却に対応していません。放射性セシウムは、焼却されると気化して拡散するか灰に濃縮されて、作業員や住民の被曝をもたらします。また、焼却炉は放射性廃棄物に汚染されるので、フィルター交換時や解体時には、飛散防止対策を講じなければならなくなります。さらに、放射性セシウムは水に溶出しやすいため、焼却灰を埋立てると排水からセシウムが環境中に漏れ出す恐れがあります。
静岡県島田市田代環境プラザ実施した試験焼却では、島田市が公表したデータからセシウム137のみの計算でも60%しか捕捉できない事が物質収支から明らかです。大気に拡散した量は10万ベクレルを超え、廃水ピット下の汚泥からは300Bq/kgが検出されています。
(3)放射能汚染検査には不備があり安全性を確保できないのでは?
現状の放射能汚染検査はγ線核種のみが対象で、毒性の高い放射性プルトニウム、ストロンチウムなど、α線核種とβ線核種の測定は、ほとんどなされていません。γ線核種も、検出下限値の切り上げや測定時間短縮によって、不検出になりえます。しかも、瓦礫の汚染調査はサンプル調査であり、実際の汚染度より低く試算される可能性があります。 安全性アピールのパフォーマンスとして、瓦礫に空間線量計をかざし、上昇が見られないと主張されることがありますが、空間線量計では瓦礫の汚染の有無を判断することはできません。
(4)原子力規制法と矛盾するダブルスタンダード(二重基準)の問題があるのでは?
原子力規制法では、原子力施設内における放射性廃棄物の処置として、放射性セシウム100ベクレルをクリアランスレベルと定めていますが、瓦礫の広域処理について、環境省は焼却灰の埋め立て基準を、放射性セシウム10万ベクレル以下に引き上げました。これは、明らかに原子力規制法と矛盾します。
環境省は「災害廃棄物安全評価検討会」でこの安全基準を決めましたが、その議事録が公開されておらず、政府の安全基準がどのようなデータの根拠によるのか、どのような経過で決定されたのかが明確ではありません。さらに3/26に開催された院内交渉において、環境省は「放射能に関する知見はない」と回答しています。まずは、環境省が決めた安全基準である瓦礫100Bq/kg、焼却灰8000Bq/kgを見直すべきです。
(5)瓦礫の広域処理は国費(復興予算)から賄われ被災者支援予算を圧迫するのでは?
岩手県岩泉町の伊達勝身町長が主張するように、安全な瓦礫なら現地に仮設焼却炉を作るほうが経済的で、雇用の面から復興に役立ちます。一方、危険な瓦礫なら、コンクリートで封じ込めるなどの対処法を考えるべきで、遠方に運搬して汚染を拡大するべきではありません。広域処理には膨大な輸送費や処理費がかかりすべて国費(復興予算)からまかなわれます。さらに被災地以外の自治体が瓦礫処理施設を整備する予算も復興予算の中から支払われます。これらの予算は、被災地に直接まわすほうが、より有効な支援になります。
(6)広域処理が進まないことが復興遅れの主な原因ではないのでは?
広域処理に回される瓦礫は、政府計画でも瓦礫総量の20パーセントにすぎません。つまり、かりに広域処理が半分進んでも、処理率は10パーセント上がるにすぎません。瓦礫はほぼ100%がすでに仮置き場に移動済みで、3/26に開催された院内交渉においても瓦礫の処理は1/3まで進んでいると環境省が認めています。
(7)広域処理は憲法・地方自治法違反では?
広域処理の地方自治体への強制は、地方自治の本旨をうたう憲法に反し、団体自治と住 民自治という原則を定めた地方自治法に反します。
「憲法第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて法律でこれを定める」と書かれており、その憲法を受けて、地方自治法は、「団体自治:国から独立した地方自治体を認め、その自治体の自らの権限と責任において地域の行政を処理するという原則、そして、住民自治:地方における行政を行う場合にその自治体の住民の意思と責任に基づいて行政を行う」という原則を定めています。つまり、国は地方自治に対し口を出すべきではなく、地方自治体のことは、その住民が決めるということが地方自治法の趣旨なのです。
しかし、特別措置法は、国と東京電力会社が責任を持つべき福島第一原子力発電所から出た放射性物質の汚染対処を、その過失に関係のない自治体に協力することを義務づけています。こんなように地方を縛る法律は、憲法と地方自治法に違反します。
(8)広域処理は国際合意に反するのでは?
放射性物質を含む廃棄物は、国際合意に基づいて管理すべきであり、IAEAの基本原則でいえば、拡散を防止して集中管理をするべきです。放射性廃棄物を焼却すると、気化した放射性物質は気流にのり、国境を越えて汚染が広がります。広域処理を進めるなら、日本は地球規模の環境汚染の責任を負うことになります。
(9)広域処理は道義的に反するのでは?
福島原発事故によって発生した放射性廃棄物は、すべて第一義的な責任者である東電が引き取るべきものです。放射性廃棄物特措法第4条でも、関係原子力事業者の責務として東電の誠意ある措置を義務づけています。責任の所在を曖昧にし、安易に汚染瓦礫を引き受けることは、放射性廃棄物を西日本が受け入れる前例となりかねません。
(10)愛知県だからこそ可能な、被災地支援の可能性があるのでは?
広域処理は、県内の産廃業者等にある程度の利益をもたらしますが、一般県民はリスクと不安を背負い込むだけで、ほぼ何も利益がありません。瓦礫受け入れは愛知県のイメージダウンにつながり、観光業、県産農産物、工業製品等の需要が減じる恐れがあります。愛知県は放射性物質の降下が少ない、中部圏でも有数の清浄な土地です。愛知県は、放射能汚染の無い農産物や海産物の提供、保養地の整備、避難者の受け入れなどを通して被災地復興を支えることができます。
(11) 安全基準の設定や詳細データの開示は?
3/5の「要請・質問書回答についての知事コメント」に記載のとおり、環境省からの回答には「焼却前における災害廃棄物の放射性物質の基準」や「焼却灰埋立地について、跡地利用を踏まえたきめ細かな安全基準 「浸出水等のモニタリング手法」などが明確に示されていません。
これについては、大村知事自身が「災害廃棄物の受け入れと言う問題を検討する上では、安全な基準の設定や詳細なデータが必要不可欠である」とコメントしており、これらの安全な基準の設定や詳細なデータが示されないまま瓦礫を焼却することは許されません。
また、焼却灰をどこに最終処分するのかも明確に示されていません。高濃度の焼却灰が出た場合はどうするのか、仮に一時保管する場合にもどのように保管するのか、その安全基準はどのように示されるのかも明確ではありません。こうした安全な処理体制を整えることが出来ない以上、瓦礫の受け入れは断じて認められません。
(12) 安全かつ効率的に瓦礫を処理すべきでは?
3/24の読売新聞報道によると、大村知事は「国が被災地に新たな処分場を作るのが本来のやり方で、最も効率的だが、国は何もしようとしない。私たちと同じ決断が、なぜ国にできないのか」とコメントしています。
ならば、知多市の最終処分場跡や中部電力碧南火力発電所、トヨタ自動車田原工場など県内の建設にこだわるのではなく、東北電力や東京電力の敷地内など被災地近くに瓦礫処理専用の施設を建設し、愛知県は瓦礫の受け入れではなく被災地近くに安全な処理施設を建設するという、知恵と技術の提供を通じて被災地を支援すべきです。