広告トラの巻 事務局長 奈 良 哲
塾は明確にサービス業です。サービス業というのはお客に好かれてなんぼ、愛されてなんぼの業種です。好かれる努力、愛される努力なしに力まかせ強引な説得を試みても、この時代、お客はまったく相手にしてくれません。
有名なマーケッターの指摘に次のようなものがあるのを思い出しました。自己満足型広告の典型例として、ある男が女性に結婚を申し込む時「僕は東大卒で、安定した職業に就いていて、年収1千万でもこの豊かな時代においては絶対に勝てないことがあることをこの男は忘れています。
それは、「好きか嫌いか」という人の気持ち、感情です。
男選びも塾選びも、この人の気持ち、感情を無視しては絶対に成功しません。まず先に「この塾が好きである、この塾に入りたい」という気持ち、感情があり、塾の内容はその後からその気持ち、感情を正統化するために付いてくるだけのことです。
塾広告で反応を引き起こせるのは情報やメッセージの内容そのものではなく、情報やメッセージに含まれた「塾のイメージ」だけです。
人が商品やサービスを選ぶ時は、まずその商品やサービスのイメージで選び、その判断を正統化するために内容説明の理屈を求めます。この順番を間違えると、広告はいつでも「自己満足型」の大変嫌味な広告になってしまいます。
日本人が「狂牛病」で死ぬ確率など恐らく信じられないくらい低いものでしょう。しかし、牛乳の安全性を科学的、理論的に証明し説得しようとしても、牛乳=狂牛病=死のイメージがなくならない限り日本人は前と同じようには牛乳を決して食べないでしょう。
人が何かを判断する時、まず先にイメージがある、特に日本人はイメージで選ぶ国民です。