建築コスト(第2話) ~CM編~ | 株式会社リデベ(再開発)の社長(こと相澤巧)のブログ

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住宅産業・不動産業界・建設業界の情報や裏話を綴ってます。立退きや地上げの話から戸建住宅のクレームや賃貸契約の話を書いてます。

さて、前回の続きです。

工事が開始して2ヶ月、順調に進み、1回目の中間検査を受けるました。
※1回目の中間検査:基礎の配筋をした時点で検査官が検査をします。

その報告をするために、桜田先生は、ゼネコンの現場監督である浅川所長(仮名)とともに、山岸さんのお宅に報告に行きました。

桜田先生と浅川所長が、概ね中間検査の報告を終わると、山岸さんが
「いやぁ、基礎の配筋の報告をされても細かいことは解らないから、そこはお任せしますよ。ところで、ちょっと、ご相談があるんですが、いいですか?」

と、その相談は桜田先生ではなく、浅川所長に向けられたものでした。浅川所長が、言葉を発さず山岸さんの方を向くと、山岸さんは
「洗面台なんですけどね、ちょっと良い物を見つけたので、それに替えたいんですがいいですか?」

浅川所長は、その時は単なる仕様変更だと思いました。そこで、
「どちらのメーカーのものですか?品番がわかれば・・・」

と言いかけたところで山岸さんが
「えっと、どこのメーカーだったかな?なんか、台湾製か韓国製のものだったような・・・。」

浅川所長もさすがに唖然として
「あの、カタログとか、どちらで見られたとかが解れば、こちらで調べますが・・・」

山岸さんは、浅川所長に手で話を制止して、
「その必要はないですよ。実は、ホームセンターで見つけたんです。ですから、うちでホームセンターでまとめて買って、ホームセンターから直接、現場に入れてもらいます。」

その時点で、桜田先生が口を挟みました。
「いやいや、単純にものが現場に入るだけじゃダメなんですよ。その洗面台の給水や排水口の位置が、今の洗面台と位置が違ったりすれば、場合によっては取り付けられない場合もあります。それにその洗面台そのものの大きさが、現在、計画されているものと違えば、入らない場合もあります。ですから、発注する前にカタログなりを取り寄せて、確認しないといけません。」

山岸さんも、産業機械の技術屋さんだけあって、このことはすぐに理解していただけたようでした。
程なくして、桜田先生のところにカタログが送られてきました。とりあえず、今のものから、山岸さんの希望するものに替えることは設計的には問題は無さそうでした。

そこで、再び、山岸さん、桜田先生、浅川所長で打合せをすることになりました。

まず、浅川所長が切り出しました。
「ところで、その洗面台の取付は、ホームセンターの方でやってくれるんですか?給排水と電気工事は、設備屋と電気屋がやるので同じなんですが、各戸への配置は今の計画では、洗面台のメーカーが行います。」

山岸さんは、どうやらその辺りのことは、まったく考えていなかったようで、
「ちょっと、ホームセンターに電話して聞いてみます。」

と言ってすぐにホームセンターに電話をしていました。そして、すぐに電話を切ると
「いや、現場に搬入するところまでだそうです。ですから、取付は浅川所長の方でお願いします。」

浅川所長は困った顔をしました。
「大変、言い難いんですけど、取付費が見積もりよりも上がってしまいますが宜しいですか?」

山岸さんの顔が一瞬曇りました。
「どうしてですか?同じような洗面台なのに取付費が変わるんですか?」

「はい、当初の計画では洗面台メーカーの関連会社が取り付ける予定だったので、取付費用が安かったんですが、全く関係ない洗面台を入れるとなると、その会社は使えません。取付だけの手間賃ということになってしまうと、どうしても費用が上がってしまうんです。」

「そうですか・・・。とりあえず、いくら上がるかを教えてください。」

この件については、取付費が上がった分よりも、洗面台が安くなった方が大きいことが後日わかります。

浅川所長はさらに1枚の紙を手渡しました。。
「それとですね、そのホームセンターに伝えて欲しいのですが、現場への搬入は、この計画でお願いします。」

その紙には、洗面台を何月何日に何個搬入するという計画が書かれていました。それは8回に分けて搬入するという計画でした。それを見た山岸さんは

「結構、細かく搬入するんですね。私はてっきりまとめて付けるものだと思っていました。しかし、解りました。ホームセンターには伝えておきます。」

しかし、後日、第1回目の搬入のときに、なんと52個の洗面台がまとめて現場に持ち込まれました。当然、現場監督と配送業者は大もめになりました。

浅川所長は、慌てて山岸さんにこのことを伝えると、山岸さんはあっさりと・・・

「いやぁ・・・、浅川所長の搬入計画はホームセンターにも伝えたんです。ところが8回に分けると思った以上に送料が掛かるので1回にまとめました。現場で保管してもらえませんか?」

浅川所長は、しばらく絶句して言葉が返せませんでした。それでも、少しずつ説明をします。
「申し訳ないですが、現場に置いておく場所はありません。もちろん、現場事務所にもさすがにこの量を保管する場所はありません。」

山岸さんも困ったらしく
「では、どうすれば良いですかね?」

浅川所長は咄嗟に
「倉庫を借りるか、ホームセンターに引き取らせて、計画通りに配送してもらうしか方法がありません。」

山岸さんはホームセンターに当初の計画通りに配送しなおすように依頼したのですが、一度、配送したものを引き取ってくれることはホームセンターはしませんでした。結局、倉庫を借りることになります。

最初に使う洗面台8個以外の44個分を収納できる倉庫を近くに借りることになりました。近くと言っても、車で20分ほど掛かる場所です。結局は倉庫と現場の往復の運搬費も掛かることになります。(これについてはゼネコンが負担したそうです。)
しかし、倉庫代がバカになりませんでした。

結果的には当初の計画のものの方が安かったということになります。
その後、倉庫代の負担や取付費の追加をゼネコンは山岸さんに請求することになるのですが、当然、最初からその見積を出していたのですが、山岸さんの計画が大きく狂ったこともあり、追加工事の費用について、ちょっと揉めることとなりました。

山岸さんは少しでも、安くしようと思って、自分でゼネコンの見積よりも安いものを探した結果なのですが、これは私に言わせれば、『素人の浅慮』としか言えません。
つまり、現場でどのように物が作られていくのかという手順を知らないから起こったことです。
ですから、CMというのは、それなりの知識を持った人でないと難しいわけです。

しかし、このような事はよくあることです。

他の事例については第3話で書くことにします。

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