【賃貸借契約】定期借家契約モドキ | 株式会社リデベ(再開発)の社長(こと相澤巧)のブログ

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住宅産業・不動産業界・建設業界の情報や裏話を綴ってます。立退きや地上げの話から戸建住宅のクレームや賃貸契約の話を書いてます。

今日は皆既日食で午前中はニュースがもちきりですが、新宿は分厚い雲に覆われていて、太陽がどこにあるかまったく確認できません。しょぼん実は結構、楽しみにしていたので残念です。しかも、事務所ということもあり、携帯のワンセグで『小さい皆既日食』を見ていました。


さて、タイトルの話に・・・


定期借家契約・・・、一般の住宅(マンションやアパート)を賃貸されたことしかない方には、あまり縁の無い言葉ですが、オフィスや店舗を借りようとしたことのある方は聞いたことがあると思います。


定期借家契約は正確には『定期建物賃貸借契約』といいます。


※定期建物賃貸借契約については・・・・借地借家法38条~40条


普通の借家契約とどう違うかと言うと・・・


・ 特約が無い限り、契約の更新が無い。

・ 特約が無い限り、200㎡未満の住宅以外は中途解約ができない。


他にも細かいことはありますが、大きなポイントはここです。


稀に200㎡未満の住宅でも、定期借家契約○年という物件がありますが、これには理由があります。


・ ○年後に建て直す等の予定がある。

・ 転勤などで、住人がそこに住めなくなったが○年後には帰ってくる。


などという理由があります。

この場合は、○年間という限定的ではありますが、ちょっと安目に家賃が設定されていることが多いです。

定期借家契約は『更新が無い』ので○年後に出ていかなくてはならないことを認識しておかないと、普通のアパートやマンションと同じ感覚で借りると大変なことになります。


では、本来の定期借家契約の目的は・・・

はっきり言って、『貸主の保護』です。


まず、特約が無い限り、契約の更新が無いということは、特約で『貸主側が承諾した場合のみ更新可能』にしておけば、その賃貸借契約の解除の主導権は貸主が持っています。


また、特約が無い限り、中途解約が出来ないということは、借主は契約期間はその建物を利用しようと、しまいと家賃を払い続けなければいけないということです。


ということは、もし、10年の定期借家契約を締結して、2年でやっぱり出ていきたいと借主が思っても残りの8年間は家賃を払わなくてはならないということです。この辺のことが解っている借主は、易々とこんな契約はしません。

そこで「○年のブレイクオプション」などという言葉が出てきます。これは10年間の定期借家契約を締結するが○年後に借主が中途解約するかを判断する・・・というような内容です。


そして、この定期借家契約は不動産ファンドなどが多用します。不動産ファンドは投資家に安定した配当を出し続けなければなりません。そこで、安定した家賃が必要になってくるのですが、もし普通の借家契約だと、借主が家賃を払うのが苦しくなったときに出て行ってしまいます。

入居時に借主の与信は当然に調査するのですが、それでもその借主が苦しくなる局面というのは不景気です。不景気になって、その借主が出て行けば、次の借主を決める時には家賃を下げないと決まらないことが多くなります。また、その際に物件の需給バランスが崩れて供給過多になると、現在の様に空室だらけになって、家賃を下げたら決まるという問題でも無くなったりします。

そこで、定期借家契約にするわけです。そうすればその借主が破綻(法人なら倒産)でもしない限りは、賃貸借契約の期間は安定した家賃収入を得ることができる訳です。特にちょっと景気が良かった時には貸主が強気でしたから、定期借家契約だらけになりました。


しかし、この定期借家契約は目的が『貸主の保護』なので、圧倒的に貸主が有利な内容が多いので、そのことがちゃんと解っている借主は応じません。それでも昨今の景気状況では空室になるより、ましなので普通の契約に貸主が応じるケースが増えてきています。


さて、定期借家契約がどんなものか、ご理解できたと思いますが・・・


私のところにこんな物件のリーシングの依頼がありました。

商業ビルの1棟貸しなんですが・・・貸主から来た、契約書の雛形を見ると・・・


『30年間の賃貸借契約とし、中途解約の場合は残存家賃を置いておくこと』


と書いてあります。私は


『定期借家だったけ?かお


と思いながら、契約書の雛形を読んでいくと・・・


『中途解約の場合は甲乙6ヶ月前に相手に申し出ること』


と書いてあります。これでは完全に普通の借家契約です。


貸主(依頼主)に・・・


「この契約は無効になりますよ・・・。少なくとも訴訟になれば負けますよ」


と言ったのですが、貸主は借主予定者に、この内容で聞いてみてくれというので、借主予定者に内容を良く説明して、この内容で良いですかと聞いたら・・・もちろん、ダメだったのですが・・・


「10年なら、残存家賃を置いていくという契約でもいいかな・・・」


『おっ・・・これだけでも貸主に顔がたつ・・・ひらめき電球


と思ったのですが・・・


「どうせ、設備投資や内装を回収するのに10年はかかるからな。ただ、うちが一方的に残存家賃を置いていくというのは対等な契約とは言えないから、貸主が中途解約を申し出た場合は残存家賃と同じ金額をうちに支払うという内容にしてくれ」


と言い出しました。一応、貸主は安定した家賃収入を求めているわけですから、これでもいいかな・・・と思ったのですが、ある意味、立退き料が事前に決まっているのと同じです。ただし、それでも普通の借家契約ですから、貸主はお金とは別に正当事由が必要ですから、この部分に於いては貸主が不利になったわけです。


一応、この内容で締結したのですが、定期借家でもないのに不思議な契約になりました。


とは、言うものの、実はこういう、よく解らない賃貸借契約は多々あります。


貸す方も借りる方も注意してください。


天気が悪くて皆既日食を見れなかった人も・・・

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