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中村哲医師(ペシャワール会)がコロナ騒動直前の2019年末、突如として時の人となった。

アフガニスタンでの慈善活動に長年携わっていた中、現地で何者かに銃撃を受け亡くなったためである。

 

彼は医師でありながら、なぜ晩年は大地を水で潤すことに命を燃やしていたのか、そもそもなぜアフガニスタンで慈善活動を行うことになったのか。その辺りも気になりこの書籍を手に取るに至った。

 

彼は医師であることに加え、登山を趣味にしていたことが、アフガニスタンとの縁を繋ぐきっかけになったという。登山仲間に誘われて訪れたアフガニスタン。そしてその後、医師として声がかかり、「行ったことのある場所でもあるし」と訪れたその地では、人命を救うために必要なものは薬や医療よりもまず「綺麗な水」であると気付かされる。沙漠等の乾燥地帯が続くこの地で、綺麗な水さえ手に入ればまずそれだけで多くの命が助けられる状況だったのである。

 

彼の凄いところは「では医師の自分が出る幕ではない」と引き下がって他者にバトンを渡すのではなく、自ら全く畑違いの土木の知識を一から学び、遠くの川から水を引く灌漑事業に乗り出したことだ。

この書籍の後半は、ほぼ治水技術の解説書となっている。いかにして安定した取水を達成しながらも洪水を避けるのか、いかにして護岸を成し得るか。それらの知恵について、地元九州の堰を分析した解説等、土木の専門知識が詰め込まれていて、正直自分にはさっぱりだった。

 

ただ政府や外国の身勝手な政策に翻弄されながらも、現場を守るために、「自分ができること」ではなく「自分がやるべきこと」にフォーカスしてやり続けた姿勢。これは一つの生き方を示された気がする。不器用なやり方だと思うが、情熱がそれを凌駕してより大きな成果を生むこともある。そんな姿を見せてくれてた気がする。