電車の座席に座ろうとしたら、

空いてるところに

その横に座ってる
女性のコートの裾が広がっていた。

その方に 裾を直して欲しいと伝えるのも

はばかられるし、そのコートの裾さえなければ
充分座れるスペースだったのだが、
小心者の私は伝えることも出来ず、

なんとも

もったいない気分と
損した思いで、立っていた。

しばらくして、そのコートの裾ありスペースに
別の女性が座り込んだ気配が視野に入った。

座ろうとされたのを察知して

いち早く
コートの裾を直したのだ、と
思ってふと見ると、

なんとコートの裾の上に でんと 座ってるではないか。

それもそんなことをするのは、
きっとオバサンなのだろう、と
読みながら思っているそこのうら若きお方。

でんと座ったかたも、
まだうら若き女性なのである。  

しかも整った顔、すき通る白い肌。

そのことに
二重に衝撃を受けたことに
いや、キレイな人はそーいうことは
しないだろう、おばさんならわかるが。
なんてのは差別的発想であろう。
しかし、
さらに輪をかける衝撃は

コートの裾ひろがせたまま
座っている女性も、
いまだそのまんま、なのである。

自分が
コートの裾をひろがせたまま、座っていることに そもそも気づいていないのか。

裾の上に座られても平気なのか。

今更裾を引くのもためらわれるから、
座るなら座っとけ!のかんじで、
ポーカーフェイスをきめこんでいるのか、
寝ている風でもないのに
すまし顔である。

やがて
コートの裾女性が
降車駅で立ち上がった時に、
ようやくコートの裾が引っ張られたことで、
本人も、
裾座り女のほうも、
全てを察したようである。

しかし、それは
ほんの一瞬の出来事で、
わたしが
この10分くらいの乗車中に
散々気をもんだ事とは裏腹に、
双方とも
何も声をかけることもなく、
裾座り女も何も謝ることも無く、
事態は終息した。


やがて、その裾座り女の
コートの女性が座っていた位置とは
反対側の席があき、
彼氏と思しきこれまた
うら若き
イケメン男性がすべりこんだ。

そのイケメン野郎と、
裾座り女は
イヤフォンを共有し、
多分何かの同じ音楽を
聞いているのだろう。
楽しげである。

そうして、
裾にすわっていたことなど、
かけらもなんともおもっていなかったように

2人で腕をからませ、
手までカップルつなぎをしているではないかっ!!

人のコートの裾に座っていながら、

男との音楽の同時共有、
カップルつなぎ。

これは、到底許せるものではない。

一体私は
何に腹を立てているのか。

人の裾に平気で座り込んでいる
その姿勢が理解できなかったのではあるまいか。

しかし、そんな女にも、
そんなことを知ってか知らずか、
裾座りを容認して受け入れてくれている
男がいることに嫉妬しているのだろうか。 

さらには
イチャイチャしていることに 
腹を立てているのだろうか。