キッチンに立ち、
法本さんのさばいてくれたツバスをながめる。
今日のメニューはシジミのみそ汁に、あとはポテトサラダを作る。
そこに買ってきたコロッケを添えるという
なんとも手抜きな料理である。



食事の用意を整え、父母を呼ぶ。
高校生の妹は部活で遅くなるのでいつもあとで食べる。
「おっ、今日は刺し身か。」
テーブルにつくなり、父が言った。
「珍しいな・・・」
「ただいまー」
突然妹のかんなが帰ってきた。
「あれ?部活は?」
せっかく席についたのに、妹の分を用意しなくては・・・
ウンザリする気持ちを抑えて聞く。
「あ、中止になった、突然」
テーブルから立ちあがって妹の分のごはんをよそおうとすると
「あ、いいよ。自分でするから」と制しながら

献立を一瞥する。
「へー。今日は刺し身なんだ。珍しいね」
「そうでしょ」
何気なさを装ったが、どこか意味ありげな視線を送ってくる
かんなに違和感を覚えた。
「着替えてくるよ」背中を向けたかんなにホッとしながら
美結は味噌汁をすすった。