町を一通り一周走ったらまた
並木町交差点に戻ってくる。
胡畔はこっそり列から抜けた。
さっきの場所・・・駿太君。
確か、紺のボーダーラインのTシャツだった。。
いろんな匂いが入り混じっているなかを
走り抜ける。
たくさんの人の汗のにおい、酒臭さ、
香水、整髪料の匂い・・
突然ぽんっと後ろから肩をたたかれる。
悪いことをした子供のように飛び上がる。
「駿・・太・・君」
懐かしい笑顔がそこにあった。
「駿太君・・私・・言いたいことがある」
ー反射的に言葉が出た。
そうだった、私言いたいことがあったんだ。ずっと・・ずっと・・
「言いたいことって・・何?
何かこわいな・・」
「あ・・言いたいことっていったらちょっと違うかな。
伝えたいことって言ったほうがいいのかな」
自分たちの周りをたくさんの人が押し寄せるように
流れていく。
ここで立ち話をするのは明らかに邪魔ものだ。
「ね・・違う場所に行こ」
二人で近田川沿いまで歩いた。
「ここって小学校の時に通った道だよね。
覚えてる・・?」
「うん・・引っ越ししてから、大阪でワースト3に入る河川だって知ったよ」
「ワースト・・・」
ワーストといわれ、すっかりムードも何もなくなってしまった。
そばを5.6歳くらいの子供たちが駆け抜けていく。
「あの・・さ・・ずっと駿太君に伝えたいことが」
「あ、俺から言うよ」
さえぎるように言われた。
「俺・・男だから・・一応」
「あ、私も女だし」
「こういうとき、そういう言い方しないよ」
八重歯をちらりと見せながらほほ笑んでいる。
やっぱりこの笑顔好き。っておもった。
「そーだよね~」
一瞬顔を見合わせた。

