「サナエ・・元気か?」
受話器の向こう側から、
懐かしい声が響いてきた。
東京からの外線。直通電話がかかり、
取ると用水原支店長だった。
「・・あ、お久しぶりです」
私はやや声がかすれ、喉の奥でほんの少しからまった
たんをほぐすように話した。
「あの・・新天地はいかがですが?」
内面の動揺を悟られないようつとめて明るく話す。
「順調やで」
「そうなんですか・・よかったですね」
言葉とは裏腹になぜか一抹のさみしさを感じている
自分に気がついた。
「あの・・娘さん。。大変みたいですね」
「そやねんー、大変やでー」
その割にはテンション高く、人ごとのような明るさである。
「娘さん・・お二人でしたよね・・どちらの方が・・」
私はさしでがましいことを
聞きすぎたかと反省したが、
かぶせるように答えがかえってきた。
「両方やねん!」
「りょう・・ほう?」
思わずモノのような言い方を
オウム返しに言ってしまったことを
恥じた。