真っ赤な口紅をためらう私に
しかし、瑞希は全く聞こえない風を装って
「紅筆は自分の使ってよ」と指示してくる。
メイクも衣装も仕上がった。
しかし、この格好で旅館の赤いじゅうたんを
レッドカーペットのように闊歩するのか?
「なんか、この格好って上に・・なにか羽織ってく?」
私は恐る恐る瑞希に聞いてみた。
なんで、瑞希に気を使わねばならんのだ。
内心思いながら、
答えが想定されるが聞かずにはおれないからか。
単に力関係が私がいつしか下になっているせいか。
「んー・・別にこのままでいいんじゃない。
上に何かきてくっていってもねー・・
何にも持ってないでしょ。
バスタオルでもかぶってく?」
嫌だよ、そんな猪木もどき。
かくして、黒のシースルードレスで歩く女3人。
すれ違う他の宿泊客がジロジロみている・・
ような気がする。。
宴会場までが遠くに感じる。
どうか、支店長に会いませんように・・
しかし、会いたくない人には
かちあってしまうというのが
宇宙の不文律、
世間の不条理というものである。
「お、ねーちゃんの格好してるやんー。
その網タイツがえーなー。
破らせてほしいな~」

