ー・・・えっ?・・まさか・・
思わず私は腰に手を当てて、
上半身を左ななめ後ろにねじりながら、
自分のヒップをながめようとした。


「えらい純情やん。ハハハ・・・」
陽気に笑いながら用水原支店長は
恰幅のいい腰を揺らしながら去っていった。
この時代に自らセクハラ発言を朝っぱらから
堂々としていくってどういうこと!

そしてそれを黙認している会社って
いったいなんなの。

なんだかんだいっても、
上の立場には
逆らえない。
誰も何も声を上げることは
できない。

私は用水原支店長のこんもりもりあがった
背中の脂肪をにらみつけた。



ピンクセラムな夜


*☆*:;;;:*☆*:;;;:



できあがった
コピー資料を会議室に並べにいく。

あ、そうだ。
支店長と課長には直接もっていくんだった。

なんだか、気が重い。。

支店長の席をそっとうかがうと
ちょうど席をはずしていた。

ほっとして、そっと資料を置く。

「お!ありがとう」

私はいたずらが見つかった子どものように
背中がビクッとなった。

「メモついてないやん~味気ないなぁ~」

支店長が後ろから声をかけてきた。

私がホッチキスで閉じたコピー資料を
片手でペラペラめくりながら
上目遣いに見る。

メモついてない、って何のメモ?

怒っているのか、それとも?
目の奥には、
からかっているようにも見える光がちらちらする。


「サナエ・・・」
周りに聞こえるか聞こえないかのような
微妙な音量でささやく。

なんで、下の名前呼び捨てなんですかっ!!
勝手に。
私は誰かに聞かれなかったと
ヒヤヒヤしながらあとずさりしながら席に戻った。