かつて、3人の男がこうやって
寝物語のついでのように、結婚という言葉を口にした。
それなのに、今こうして
4回目の結婚という言葉を聞いているということは、
結婚が現実のものにならなかった、ということである。
それは、男が半ば成り行き上ムードにのせられて、
つい口走ってしまっただけなのか、
肉欲のためだけだったのか。
一夜明ければ
冷静な気持ちになり、撤回されたこともあった。
又、今回もそうかもしれない・・
「本気?」
私は克弘の目を見て聞いた。
「本気だよ」
私の前髪を手ぐしですくいあげながら、
言う。
そしてそのままおでこを出してそこにキスした。
私はふとあの日の疑問を口にした。
「ねえ・・一つ、聞いてもいい?」
「なに」
「どうして私のこと、最初一目みただけで、
誘ったの?」
「そんなの、決まってるだろ。
好きになったからに決まってるだろ。」
「どこが・・・?どこが好きになったの?」
「におい」
そういって耳の後ろに唇を寄せた。
「メスのにおいがした・・男を惑わす生々しいメスのにおい」
私は目を見開いた。
そんなことを言われたのは、生まれて初めてである。

