「結婚前には、何もかも見せないほうが、
女はいいっていうことよ」
「えーっ。でも、そんな計算みたいなこと、できない」
女性として、きっと経験豊富であろう臼井さんの言葉だが、
私は思わず真面目に反論してしまった。
「たとえば、て話ですよ。先パイ、本当に真面目なんだからー。
・・でも、どうゆうことですか?」
心愛も乗り気である。
「結婚前に
『男にごはんとS・・exを与えちゃいけない』
ってゆうこと」
「ええっ!!そうなんですか!!」
今度は心愛が目を丸くした。
私は初対面の会話としては、
いささかヘビーなセッションに
面喰った。
今後もこの臼井お姉さんがいるグループに所属して、
料理なんて習っていられるんだろうか。
初回にして不安が襲ってくる。
「だけどー。結婚前にお料理作ってあげたり、
S・・・exだってあたりまえのことですよねー。
それがなかったら、逆に不安。戦前じゃないんだから。」
心愛は勢いに乗って饒舌(じょうぜつ)になっている。
「まあね。イマドキ生娘でいろ、なんていわないけどね。
ま、要は与えすぎに注意ってとこかな。
あと、昔からよく言われることに
『結婚前は両目をしっかり見開いて見て、
結婚後は片目をつぶりましょう』ていうのね」
「あーそれなら、私聞いたことあります」
私は話題がシフトチェンジしていささかほっとした。
「私なんて・・結婚前にあまりに尽くしちゃって・・
いつも、それでダメになるんです・・」
今まで黙って聞いていた奈緒美さんが
ポソッと口を開いた。
「・・あ、重いってやつですか?」
またここでも心愛が余計なひと言をすべらせる。
「重いから嫌われたんじゃなくて、もうその時には
心は離れちゃってて、相手が傷つかないよう
「重い」って言われただけだと思う」
奈緒美さんはうつむき加減でポツポツと
言葉を紡いだ。

