朝顔をベランダのプランターで育てたことがあった。
フタバがでて、よつばになり、
朝顔はあっというまに成長した。
棒をたてるとツルがまきつき、
どんどん上へとのびていった。
棒の先までのびたツルは、
行き場を失い、
ゆらゆら風にゆらめいた。
その頃メゾネットタイプという
上下階がつながっている団地の5階6階に暮らしていた。
棒の先からその上の6階までの空間をポリひもで
つなぐと、
ツルはまたそのポリひもをつたい
6階の柵にまきついていった。
一体どこまでのびていくのだろう、と
うれしさ半分不安半分で
見守る私をおいて、
子どもは「ジャックと豆の木みたいだ」
と無邪気に喜んだ。
そのうち6階の柵ギリギリまで
のびたツルは、そこでぱったりと成長がとまった。
一つの種の成長枠ギリギリであったのか、
それとも朝顔も自分がのびることが出来る
制限を知っていたのだろうか。
7階8階に住んでいる人のところまでいかずに
よかったと
ほっとした反面、
せつない気持ちになった。

ピンクセラムな夜