ある晩、夢を見た。
母ちゃんが犬を抱えてどこかへ行こうとしていた。
「母ちゃん、どこへ行くげん。
どこへ連れて行くげん。」
母ちゃんはチラっと私を悲しそうな目で見て、どこかへ消えた。
あの犬は最初に飼ったチロだったか、
次に飼ったクルミだったか。
チロは5歳になった時、ジステンバーで死んだ。
あの頃は、犬に予防注射するということが
浸透していず、あっというまにひろまった。
次に飼ったクルミは父ちゃんが
自由に遊ばせてやろうと
クサリを離して遊ばせてやったとたん、
そのままどこか遠くへ行ってしまい、帰ってこなかった。
チロ・・クルミ・・その次はミルだった。
ミルは父ちゃんと離れることになったとき、
父ちゃんのところへ置いて
私たちは出て行った。
最後はどうなったのか、わからない。
夢にでてきたのはどの犬だったのか・・
クルミはメス犬だったので、
一度お産をしている。
その時の仔犬なのか・・?
そんなことはどうでもいい。
私は首を振った。
何か嫌な予感がした。

