「あ、これ平成22年やって。じゃあまだ新しいな」
机の上に置いていた500円玉を、くるくると
回しながら見ていた姪っ子が言う。
「今、平成何年?」
「24年」
「ゆずちゃんが生まれたの、何年やったっけ?」
「平成15年
「ええっ?15年?」
姪っ子の年齢も生まれた時のことも覚えていて、
わかっているはずなのに
改めて生まれた年を聞かされると
後ろにひっくり返りそうになる。
「じゃあ、この冷蔵庫より若いやん」
姪っ子は、まだ500円玉をくるくる回し見ながら
大発見したように叫んだ。
「あ!0の中に500円って書いてるで」
「0の中に『500円』?」
「ほら見てみー。500と書いてる0の中に
たてに500円って書いてる」
「えー?たてに?」
なんのことか意味がわからなかったが、
手渡された500円玉を近づけてななめにしたり、
角度を変えて見てみると
なるほど本当に
0の数字の中に
500円とたてに印字されている。
「知らんかったやろ?」
ゆずちゃんはうれしそうに得意顔だ。
「うん。知らんかった。
よくこんなの見つけたな~」
何でもないありふれた日常の中に
ラムネ菓子がぽんとほりこまれたような
ひと時だった。

