バッグが私の腕に当たった。
確かに当たった。
明らかに当たった。
これだけ当たると
バッグの持ち主も
当たったことは
自覚しているはずだ。
しかもこの当たり方。
ただならぬ当たり方。
この傍若無人極まりない当たり方は
きっと中国人だと私は
確信した。
さり気なく斜め下を見て
スーツケースを確認した。
あーご旅行の帰りですか。
先ほどの当たったと
思われるバッグを肩に
スーツケースをガラガラと
座席の確保に必死である。
私も必死で
しかし
できるだけ
さり気なく平常を装って
バッグの主を確認する。
ん?日本人?
私の1/3くらいしかない
小顔のかわいらしい母親は
何かを
子供に叫びながら
席を確保している。
その何かは聞き取れなかった。
やはり中国語だ。
席を取れたことに安堵している。
家に帰り
このことを誰かに話したい。
話さなければ気がすまない。
しかしわざわざ友達に電話してだの
メールしてだの
面倒だし
してられない。
された方も迷惑である。
そこで
手近にいる
相性の悪い配偶者に話すしかない。
「それが中国の文化やねん~。
当たったことなんか、
なーんとも思ってない。
そこにおるアンタが悪い、
くらいにおもてるで」
なるほどね~
私は
モノですか。


