3月にはいって私たちは、
日々卒業式の練習に力を注いでいた。
そんなある日。
東北地方に大きな地震が起きた。
私はテレビで画像を見るたび、
遠く離れた同じ小学生の子たちを思った。
同じ小学生なのに、卒業式どころではない。

毎日卒業式の練習とはいえ
歌を歌ってる自分たちがのんきに思えた。
歌は「栄光の架け橋」
でも、毎日毎日歌っているうち、
「この歌を届けたい!」
そんな思いが湧き起ってきた。

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卒業式前日。
「ハルちゃん、私・・ハルちゃんに謝らないといけないことがある」
「えっ・・何・・?」
なんだか意を決したようなみっちゃんの顔はいつもと違っていた。
「明日卒業式だから。その前に最後に謝っとこうとおもって」
みっちゃんの髪が風に揺れた。
「ごめんね・・」上目遣いにみっちゃんは一気にそう言った。
その一言で、私の気持ちはスーッと何かが下から押し上げられ、
外の世界に放出された。
「私も・・ごめんね・・」
思わず口をついて出ていた。
「たぶん・・中学行ったら、今までみたいにあんまり一緒にあそべないようになると思うし」
「うん・・」
「九鬼くんとも・・」


その言葉が出た時、私の心はイガグリを10個素手で
握りつぶしたように痛んだ。


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「九鬼君は・・違う中学に行くんだ」
「そうなんだ・・」
にぎりつぶした手のひらから、
うっすら
血がにじんでいくのがわかる。
「電車に乗って、遠いところにある私立の中学まで行くらしいよ。」
「私立?」
「私たちとは違うからね。
歯医者さんになるんだって。お父さんみたいに」
あっ、そっかー。
九匹の鬼だもんね。
九匹か、九頭か、九人か。
もう今となってはどうでもいいことをまた考え始めた。
頭の中で鬼がぐるぐる回って鬼ごっこをはじめた。
「私はまた、中学では部活に打ち込むし!
ハルちゃんは?」
快活に笑うみっちゃんに圧倒される。
「ん・・まだわかんないけど・・」


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