「ハルちゃん、九鬼君のこと好きなの?」
みっちゃんはストレートに聞いてきた。
あ、やっぱりみっちゃんのこうゆうところ、苦手だな~と
心の中に何かがうずまくのを感じた。
「別に・・そんなことはないけど・・」
言葉を濁してしまった。
「私は好きだよ」
なんだかみっちゃんは挑むような目で私を見た。
「秋はさ、修学旅行もあるし、運動会もあるし、
いろいろチャンスだよ」
「チャンスって・・私はそんな・・」
私は靴の先を地面にこすりつけて
円を描き、心の中のモヤモヤをはきだそうと努力した。

「あ、私お母さんから
もしあったら買ってきて、って頼まれてたものあったの、思い出した!
もういくね」
そういうのが精いっぱいだった。
私はあとも見ずに駆けだした。


何が修学旅行よ、何がチャンスよ、
私はみっちゃんみたいにおっぱいも
おっきくないし、
いまだにブラジャーもしてないし、
する必要もないし全然ダメ。
おまじないもききそうにないし、どうしたらいいん。

私は小走りにただ進んだ。
あてもなく進んだ。

みっちゃんがおいかけてこないように
できるだけ早く歩いた。

ただ相手のことを思うだけでいい、とか
相手の姿を見れるだけで幸せ、とか
そんな風には思えない、思いたくない。
そんな少女趣味の世界からは
もうおさらばしたい。
だって、もう6年生なんだもん。
九鬼君を見つめる風景の中に、
隣に別の女の子が
入り込んできた姿を想像した。
耐えられない。
そして、その姿がみっちゃんだったら。
もっと耐えられない。


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