「小川さんは・・今、何歳だったかな?」
先生は私のことを
突然苗字で呼びかけた。
「10歳?11歳?」
「・・あ、10歳です」
「そっか。じゃあ、1/2成人式だね」
「2分の1?」
「最近はそんな風に言って、
お祝いするおうちがあるみたいだけどね」
「あーうちは全然。
そんなの、全く関係ありません・・」
「10歳は1/2オトナ・・半分はもうオトナなわけだから
小川さんは
今日自分のしたことを充分キチンと
考えられると思うので、
もう先生は何も言わないでおきたいけども、でも
やっぱり先生は疑問なので
質問ということでいいかな?」
「・・はい・・」
「どうしてニワトリの羽根をむしっちゃったかな?」
「あの・・ドラマやマンガなんかで
羽根のついたペンなんかがでてきて・・
そうゆうのにあこがれて、これでできるかな~・・とか、
最初は落ちてる羽根をひらってるだけだったんだけど、
そのうちどんどん羽根が欲しくなってきて・・
ずっとまえ赤い羽根共同募金があったときのこと
思い出したりして、
この羽根に絵の具で赤い色をつけて
私も共同募金してみたいな・・・とか
考えてたらどんどん・・気がついたら
・・いっぱい・・むしってしまって・・」
「赤い羽根か~・・」
先生は半ばあきれたように、半ば感心したように
薄く笑みを浮かべていた。
「小川さんは、つくづく面白い子だね」
面白い子・・
そう言われて喜ぶべきか。
いや、違うだろう・・ほめことばではない・・
「確かに、赤い羽根は小川さんの考えた通り、
ニワトリの羽根で作っていますよ。
でも、今度そんな面白いアイディアが浮かんだら
一人で突っ走らないで、先生に一言相談してくれるかな」
先生はピアノの鍵盤に
えんじ色のカバーをかけながら言った。
「来年卒業するときに・・
卒業文集をみんなで作ります。そのときに
それぞれ自分のなりたい夢というのも書いてもらいます。
あと1年ありますから
今からでも決して早くはありませんよ。
考えてみてくださいね」
夢・・私は将来なんになりたいんだろう・・?
「12歳のときに思い描いた夢というのは
その人が本当になりたかったものなんですよ。
先生も大人になって、引っ越しのときに
自分の小学校の卒業文集読んで、
あ~そうだった・・て思いました。
ちょっと笑ってしまったけどね」
将来の自分のために
あと1年かけて・・
自分の夢を探す。
ピアノの画像が頭に浮かんできた・・
私はピアノが好きだったんだ。
第一話
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