「あ・・私・・私は西山といいます。
西山かりん。あの・・
夏の鈴って書いてかりんって読むんです」
あわてて私も自己紹介した。
「かりんさんですか。可愛い名前ですね」
アキツグ氏はほほ笑みながらそういった。
か、かわいい・・って。。名前だけじゃなくて
私のこと、かわいいって思ってくれたらいいのに。
と、厚かましくも、そう思った。
ま、思うのは勝手だから許せ。
「あの・・私、夏に生まれたんですよ。。
7月4日が誕生日なんです。
あ、宣伝してるわけじゃないんで!
あの・・『7月4日に生まれて』というトムクルーズの映画あったじゃないですか・・
偶然なんですけどね。
私トムクルーズ好きなんですよ。あの・・私オトコマエの人好きなんです」
と、思わず間接的に早くも告白してしまった。
しまった!気づかれたか・・?
「あ~そうなんですか・・
トムクルーズ。僕もその映画DVDで観ましたよ。
DVD集めるの好きなんでね」
「そうですか~!!よかった・・
男の人ってDVD集めるの好きですよね」
いけない・・ついまたしゃべりすぎてしまった。
気に障ってしまっただろうか?
しかし、アキツグ氏はそんな様子はみじんもみせることなく、
「たくさんありますよ~もう100本以上あるかな。
いつもカミサンに怒られてるんですけどね」
カミサン・・カミサンか・・
自分も夫がいるのに、
葉本さんに奥さんがいることを
確認させられてなぜだかショックを受ける。
「あ、もう駅ですね・・
僕こっちなんで」
葉本さんと私はお互い別方向だった。
どこの駅までなのか・・
そこまではさすがに立ち入って聞けなかった。
「じゃあ、また・・
クラブ、入るんですか?」
「あ・・あの・・今日きたばっかで・・
まだ決めかねているんですけど」
「またお会いできる日を楽しみにしてますよ」
またお会いできる日を・・
またお会いできる日を。
また私は「またお会いできる日を」という
言葉のテープが連なって
脳内でぐるぐるまわりはじめた。
今度はちびくろさんぼまで登場して
一緒に黄色い傘をもって
まわりはじめた。
その言葉はただの社交辞令なのか、
まさか個人的な気持ちで・・?
そんなことはない。
そんなことはないだろうが、
もし気持ちがあるならば、うれしいような、
でも初対面の女にそう軽々しくいう男だったら
それはそれでずいぶん軽薄な気もする。
そんな人じゃない、と私は葉本さんを勝手に美化していた。
ややこしいな、私。


