瑚々は圓潮の手を振り払い、鋭い瞳で彼を睨みつけた。「私という人間を分かってないようね」
そう言って、胸に手をあてる。「私の力は四国八十八鬼夜行組長、隠神刑部狸玉章だけのもの。あの方だけが私の力を手にいれることができる。彼以外の者にこの力を捧げる気は毛頭ない」
圓潮はすっと目を細めた。
「では言い方を変えようか。もし君が断るならーー」とんとん、と足で地面を鳴らす。「下で眠っている君の夫を殺す、と言うのはどうかな?」
「その瞬間、あなたは終わる。私を怒らせたから」
瑚々は薄ら笑いを浮かべた。「彼には指一本触れさせない」
瑚々が本気で言っているのが分かり、圓潮は暫くの間彼女を見つめていた。
そしてようやく口を開く。
「きみには驚いた」
首を傾げ、彼女の顔を覗きこむ。
「記憶の通り、したたかで、芯があり、予想外で油断ならない。そして記憶の中の君より、今の君のほうが美しい。だが」
驚く暇もなく、手を伸ばして瑚々の顎をつかむ。「妥協というものを知らない」
「ーーー」
瑚々は目を上げて圓潮を見た。闇のような瞳。そこには無表情に彼を見つめる瑚々の姿が映っていた。
「抵抗しないのか?」
彼女の腰にもう片方の手を回し引き寄せながら、圓潮が囁く。
瑚 々は手摺から身を乗り出し、自分の顔を圓潮の顔に近づけた。「抵抗してほしいの?」
その妖艶な微笑に、圓潮は笑みを浮かべた。
その時目にも見えない早さで瑚々は隠し持っていたナイフを取り出し圓潮の喉元にその刃先をつきつけた。
が、ナイフが突き刺さる寸前に圓潮は瑚々の手首を掴んだ。
彼は笑みを浮かべたまま目を見開く彼女に向かって首を振って見せた。
「記憶の通り、やっぱりきみは信用ならない。ずる賢く、頑固で、計算高い」
圓潮が瑚々の手首を手摺に叩きつけると、ナイフが衝撃で地面に落ちていった。
睨みつける瑚々に圓潮はにっこりと笑った。
そして彼女の顎を掴み、その唇に激しく口付けをした。
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そう言って、胸に手をあてる。「私の力は四国八十八鬼夜行組長、隠神刑部狸玉章だけのもの。あの方だけが私の力を手にいれることができる。彼以外の者にこの力を捧げる気は毛頭ない」
圓潮はすっと目を細めた。
「では言い方を変えようか。もし君が断るならーー」とんとん、と足で地面を鳴らす。「下で眠っている君の夫を殺す、と言うのはどうかな?」
「その瞬間、あなたは終わる。私を怒らせたから」
瑚々は薄ら笑いを浮かべた。「彼には指一本触れさせない」
瑚々が本気で言っているのが分かり、圓潮は暫くの間彼女を見つめていた。
そしてようやく口を開く。
「きみには驚いた」
首を傾げ、彼女の顔を覗きこむ。
「記憶の通り、したたかで、芯があり、予想外で油断ならない。そして記憶の中の君より、今の君のほうが美しい。だが」
驚く暇もなく、手を伸ばして瑚々の顎をつかむ。「妥協というものを知らない」
「ーーー」
瑚々は目を上げて圓潮を見た。闇のような瞳。そこには無表情に彼を見つめる瑚々の姿が映っていた。
「抵抗しないのか?」
彼女の腰にもう片方の手を回し引き寄せながら、圓潮が囁く。
瑚 々は手摺から身を乗り出し、自分の顔を圓潮の顔に近づけた。「抵抗してほしいの?」
その妖艶な微笑に、圓潮は笑みを浮かべた。
その時目にも見えない早さで瑚々は隠し持っていたナイフを取り出し圓潮の喉元にその刃先をつきつけた。
が、ナイフが突き刺さる寸前に圓潮は瑚々の手首を掴んだ。
彼は笑みを浮かべたまま目を見開く彼女に向かって首を振って見せた。
「記憶の通り、やっぱりきみは信用ならない。ずる賢く、頑固で、計算高い」
圓潮が瑚々の手首を手摺に叩きつけると、ナイフが衝撃で地面に落ちていった。
睨みつける瑚々に圓潮はにっこりと笑った。
そして彼女の顎を掴み、その唇に激しく口付けをした。
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