「そーいや、お前アリスに惚れてたよな」

第二Q。

灰崎はドリブルしながらいつものニヤニヤ笑いを口元に浮かべた。「確かそれであの女に手出したんじゃなかったっけ?」

「……」

黄瀬は何も言わない。試合は灰崎が優勢で、黄瀬のストックを尽きかけていた。

「でもま、あいつがお前みてーなヤワ野郎に靡くわけないか!」

「…あんたも人のこと言えないっしょ」

ケラケラ笑う灰崎を黄瀬は睨みつけた。「いつも相手にされなかったのはあんたッスよ」

「どーだかな」その含みのある口調に黄瀬は眉を上げた。「…どういう意味ッスか」

灰崎はニヤリと笑った。「さっきアリスと取引したんだよ。俺がお前を潰せば、代わりに身体をくれるってな」

彼の言葉に黄瀬は目を見開いた。「なん、だと…」

「いや、ちょっと内容は違うな」

灰崎は意地悪く口元を歪ませた。



「赤司から、あいつを奪う」



その瞬間、電気が体を通り抜けたような気がした。

そうか…。そういうことだったのか…。

(アリスの狙いは俺らじゃない)

驚きの事実に唖然とする。

(アリスの狙いは、赤司の敗北だ…)

赤司の敗北。それはつまり勝利が基礎代謝である彼にとって死を意味するーーーー。

(ってことは)ぐるりとコートを見渡す。(これも計画の一部ってことか…)

はぁーとため息をつく。「…ここまでハッキリとフラれたのは初めてッスね」

「ああ?」
怪訝そうに顔をしかめる灰崎を黄瀬はきっと睨んだ。

「来いよ」

ぐっと身構える。「あんたらの思い通りにはさせない」