「それは…復讐のためですか?」

黒子は落ち着いた声で尋ねた。聞かなくても彼女が誰のことを言っているのかは分かっていた。

応える代わりにアリスは甘い微笑を浮かべる。

黒子はため息をついた。「…僕にも復讐するために戻ってきたんじゃないんですか」

彼女は肩をすくめた。「そのつもりだったけど、気が変わったの」

「どうして僕を?」

「だって、その方が面白いでしょ?」彼女の顔が熱っぽく輝く。「一度も負けたことがない彼が、一番最弱のあなたに負けるなんて」笑みが大きくなり完璧な歯が覗いた。これほど美しく、寒気がする微笑は見たことがない。
「あの人がどうなるか見ものだと思わない?」

「あんたさっきから何を…」

「今は」彼女は冷ややかな視線を火神に向けた。「テツヤと話してるの」

「火神君。彼女に逆らわないでください。でも言いたいことは分かります」

黒子は彼女を見据えた。「僕はきみの復讐の駒になるつもりはない」

アリスは目を細めた。「断るっていうの?」

「僕たちは、僕たちの目的で勝つ」黒子ははっきりと言った。「きみに利用される権利はない」

僕に復讐したいなら、復讐すればいい。

そう言う黒子を彼女はじっと見つめた。

「あくまでも、私に逆らうのね…?」彼女は囁くように言った。

その瞳がキラリと輝くのを見て、黒子はハッとした。

次の瞬間彼女は驚く早さでカントクを引き寄せ、その首筋に隠しもっていたナイフを突きつけた。

驚愕する三人に、彼女は冷笑を浮かべ、首を傾げた。

「まさかの展開ね」