ネイサン・パールハント。

このバスケ界でその名を知らないものはいない。

若干16歳でNBAに所属し、以降スタープレーヤーとして、活躍中だ。

また、オレンジ色の髪とグレーの瞳、シルクのような声をした美青年で、バスケ界一の色男として知られており、女性ファンも多い。さしずめアメリカ版黄瀬といったところか。

プレーヤーたちの私生活のコラムでちらっと見たが、有名な女優、歌手を取っ替え引っ換えしてるらしい。

遊び人で、気軽なセックスを望んでいる男ーーーまさに霜月の理想だ。


だがまさか、酔っていたとはいえ結婚するとは。

「こりゃー強敵だな、真ちゃん」

高尾は呆気にとられながらも、どうにかひきつった笑みを浮かべた。「ただの大学生だったらまだしも、パールハントとなると…」

「黙れ高尾」

俺は頭を抱えた。「結婚となると…向こうも赤っ恥をかきたくないだろうな」

「無理にでも結婚を迫るでしょうね」

他人事のように唇をいじりながら頷く霜月。「彼に見つかれば、私も人妻か」

「だけど日本に来てもお前がどこにいるかは知らねぇんだろ?」なのにどうやって見つけるんだ?と高尾が疑問を口にすると彼女は苦笑した。

「兄なら喜んで私の居場所を教えると思う。退屈してるだろうし」

「どんな兄貴だ…」

俺が顔をしかめると、彼女はニヤリと笑った。「スーパージニアス(超天才)。かなりイカれてるけどね」

「So I can find you,babe(だからお前を見つけることができたんだよ、ベイビー)」

突然背後から聞こえた、アトランタ訛りのある英語。

振り返ると、オレンジ色の髪が目に入った。

サングラスを外し、甘い笑みを浮かべる。

「Hey,Anna(よぉ、アンナ)」