瑚々が会議が開かれる間の襖を開けると、中にいた玉章以外の妖怪たちが一斉に彼女に視線を向けた。
だが彼女は臆した様子はなく、つん、と顎を上げ堂々と妖怪たちの間を歩いていく。
「おい、一体どうなってる?」通り過ぎる彼女をみて、何人かの妖怪たちが騒ぎ出す。「なんでただの人間がいる?」
「何かの冗談か?」
「まさかあの女も会議に出席するのではあるまいな?」
「遅かったね」
瑚々が隣に座ると、玉章は手を伸ばしてその頬を撫でた。「話し合いは済んだかい?」
「ええ。もう準備はできたわ」
そう言って瑚々は改めて周りを見渡した。「…ふーん。全国の妖怪が集まってるじゃない。彼もここまで集めるの大変だったでしょうに」
「どの妖怪も、リクオの祖父ぬらりひょんに昔借りがあるからね。集まるのは当然さ」
この前そのぬらりひょんに命を救われた玉章はフン、と鼻を鳴らした。
「だけど」
瑚々は今間に入ってきた先ほどの酔っ払いをちらっと見た。「・・・どの妖怪たちもみな協力的には見えないけれど」
男は玉章と一緒にいる瑚々をみて、ウィンクをしてきたが、彼女は無視した。
「国内17地方総元締めのみなさま、および構成員500匹以上の大組織のみなさま」
二人が視線を上げると中央の席につき、頭を下げる奴良リクオの姿が目に入った。
「今夜お呼びしたのは他でもございません。お伝えした清浄のことでございます」
それから暫く、清浄に関する説明が続いた。
清浄が遅くとも数日以内に始まること。阻止するためにはお互いが助けあわなくてはならないこと…。
話が終わると間はしん、と静まり返った。
さて、と瑚々は妖怪たちに視線を走らせた。一体どんな反応がかえってくるか…。
「奴良組は、億したということだな…?その清浄に」
始めて口を開いたのは中国地方の瀬戸悪鬼組若頭だった。「鵺なんざ…わしら悪鬼組にはなんでもないわ。若造…いきるなよ」
「そうじゃわしら天下布武組をなめるな、蛮東妖怪」
「貴様では話にならん!」
「関東妖怪も落ちたもんじゃのう」
「おやおや」
口々に言い出す周りを静めようと一人奮闘するリクオをみて、玉章はため息をついた。「やっぱり、彼には重荷だったかな」
「それはどうかしら」
ふっと笑みを浮かべた瑚々に玉章は眉をあげると、彼女は顎でリクオを指した。「見て」
訝しげに玉章が視線を戻すとリクオはざわざわと騒ぐ周囲に向かって手を上げた。
「おだまんなさい。今は僕が…三代目だ」
先ほどとは違う有無も言わせぬ口調に、妖怪たちは一瞬にして黙りこんだ。
玉章でさえ驚いて目を見開いたが、瑚々はその口元に笑みを浮かべた。
「だてに私たちを打ち負かしたわけではないってわけね」
その時、初めて彼女が玉章以外の者に本物の笑みを向けたのを、リクオは知るよしもなかった。
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だが彼女は臆した様子はなく、つん、と顎を上げ堂々と妖怪たちの間を歩いていく。
「おい、一体どうなってる?」通り過ぎる彼女をみて、何人かの妖怪たちが騒ぎ出す。「なんでただの人間がいる?」
「何かの冗談か?」
「まさかあの女も会議に出席するのではあるまいな?」
「遅かったね」
瑚々が隣に座ると、玉章は手を伸ばしてその頬を撫でた。「話し合いは済んだかい?」
「ええ。もう準備はできたわ」
そう言って瑚々は改めて周りを見渡した。「…ふーん。全国の妖怪が集まってるじゃない。彼もここまで集めるの大変だったでしょうに」
「どの妖怪も、リクオの祖父ぬらりひょんに昔借りがあるからね。集まるのは当然さ」
この前そのぬらりひょんに命を救われた玉章はフン、と鼻を鳴らした。
「だけど」
瑚々は今間に入ってきた先ほどの酔っ払いをちらっと見た。「・・・どの妖怪たちもみな協力的には見えないけれど」
男は玉章と一緒にいる瑚々をみて、ウィンクをしてきたが、彼女は無視した。
「国内17地方総元締めのみなさま、および構成員500匹以上の大組織のみなさま」
二人が視線を上げると中央の席につき、頭を下げる奴良リクオの姿が目に入った。
「今夜お呼びしたのは他でもございません。お伝えした清浄のことでございます」
それから暫く、清浄に関する説明が続いた。
清浄が遅くとも数日以内に始まること。阻止するためにはお互いが助けあわなくてはならないこと…。
話が終わると間はしん、と静まり返った。
さて、と瑚々は妖怪たちに視線を走らせた。一体どんな反応がかえってくるか…。
「奴良組は、億したということだな…?その清浄に」
始めて口を開いたのは中国地方の瀬戸悪鬼組若頭だった。「鵺なんざ…わしら悪鬼組にはなんでもないわ。若造…いきるなよ」
「そうじゃわしら天下布武組をなめるな、蛮東妖怪」
「貴様では話にならん!」
「関東妖怪も落ちたもんじゃのう」
「おやおや」
口々に言い出す周りを静めようと一人奮闘するリクオをみて、玉章はため息をついた。「やっぱり、彼には重荷だったかな」
「それはどうかしら」
ふっと笑みを浮かべた瑚々に玉章は眉をあげると、彼女は顎でリクオを指した。「見て」
訝しげに玉章が視線を戻すとリクオはざわざわと騒ぐ周囲に向かって手を上げた。
「おだまんなさい。今は僕が…三代目だ」
先ほどとは違う有無も言わせぬ口調に、妖怪たちは一瞬にして黙りこんだ。
玉章でさえ驚いて目を見開いたが、瑚々はその口元に笑みを浮かべた。
「だてに私たちを打ち負かしたわけではないってわけね」
その時、初めて彼女が玉章以外の者に本物の笑みを向けたのを、リクオは知るよしもなかった。
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