「転入生?」



渡された資料から顔を上げると、ダンブルドア校長は目をキラキラ輝かせながら満足そうに頷いた。「そうじゃ。名前はジュリエット・オコーネル」


「聞かない名ですな」


「そりゃそうじゃ。わしが造ったのじゃからな」


「は?」


聞き返すが、「それより」とダンブルドアは話を変えた。「セブルス、きみに折り入って頼みがある」


「この転入生を守れとでも?」


そう言うと、ダンブルドアはふぉふぉっと愉快そうに笑いながら髭を撫でた。「守る、か。彼女には必要ないじゃろう」


スネイプが眉を上げると、ダンブルドアはウインクし「いずれ分かる」と言った。


「それでは吾輩はなにをすれば?」


そう問うと、ダンブルドアの顔に茶目っ気が消え、真面目な表情に変わった。


指を組んで、身を乗り出す。「彼女を、見張ってもらいたいのじゃ」



スネイプは目を細めた。「見張る?」


ダンブルドアは頷いた。「そう。今回は守るのではない。逆の立場じゃ」


スネイプは顔をしかめた。納得がいかない。


「それは校長だけでもできることでは?」


するとダンブルドアは悲しげに微笑んだ。「わしは、彼女に信用されておらん」


「というと?」


「長年の因縁、というものじゃ」


話はこれで終わり、というように、ダンブルドアは立ち上がった。


「君なら、やってくれるじゃろう?」


その目の奥に悲痛と憂いがあるのに、スネイプは気付いた。


「御意」


何もそれ以上尋ねることなく、そう言って、スネイプはマントを翻し、校長室から出て行った。









校長室から出ると、スネイプはぞくっと背筋が凍るのを感じた。


振り返るが、そこには蝋燭に照らされた廊下が広がるだけ。



なにかが、起こるのだろうか?



資料に視線を落とす。


ファイルに挟まれた写真の中にいるのは、とても綺麗な顔をした一人の少女だ。


だが、写真は雨の中でとったらしく、少女の黒髪は濡れていて、マスカラが頬に流れていた。


挑戦的に顎を上げ、煙草を吸い、こちらに向かって、煙を吐き出している。




ジュリエット・オコーネル。



彼女がこのホグワーツにさらなる混沌を巻き起こすのは間違いなさそうだ。