ことの発端は何だったか。


分からない。


多分、いつも4歳の子供のように笑っていた彼女が、泣いている姿を見たからか。


彼女がクラスの中でも浮き始め、誰も彼女の存在を求めていないと知ってからか。


段々増えていく手首の傷を見たからか。


どれも曖昧すぎる。


何より確実なのは、俺が彼女を好きだったということ。


そして、もっと彼女を信じればよかったという後悔。


「あの子、氷室君以外の男の子と寝てるのよ」


他人の噂なんて、信じるべきじゃなかった。


彼女と話し合うべきだったのに、俺は彼女を拒絶した。


「お願い、信じて・・・・」


泣きながら俺にしがみついていた彼女を、俺は見捨てた。


「くそっ」


拳を壁にぶつける。


遅すぎた。


きみの躯を見た時、聞こえないと知りつつも涙を流しながら何度も謝った。


きみは正しかった。


なのに・・・。


最後のきみの言葉が、頭の中で木霊する。


「あなたのこと、愛してるわ」


君の肌。君の髪。君の唇。君の声。君の匂い。


人が忘れても、俺は忘れない。






Because Of You