「・・・・」
じー。
「・・・・・」
じ――――。
私は溜息をつき、彼を振りかえった。「・・・なに?」
「べっつに~」
と彼はニヤニヤしながら、また私の知らない菓子を頬張る。
私は少なからずイラッとした。なんなのよ。
私が立ちあがると、彼は視線を上げた。「どこ行くのー」
「図書館」
と3冊の本を掲げて見せる。ちなみにかなり重い。
彼は眉を寄せた。「まだ話終わってないんだけど」
「話す気なんて、ないでしょ」私はつん、として言った。
彼は溜息をつき、菓子を置いて、椅子から立ち上がった。
相変わらず大きくて、思わず後ずさりする。
「な、なによ・・・」
ぎゅっと本を胸の前で抱きしめる。なんか怖いんですけど。
「この鈍感馬鹿娘」
小さな声で、彼が呟いた。
あまりに小さな声だったので、思わず聞き返す。「はい?」
彼は首を振って手を差し出した。「ん」
「な、なに」
彼は舌打ちして「いいから、ほら」と促す。
「本。俺が返してきてあげる」
私は眉をよせた。「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで」
「杏ちんが図書館に行く理由がなくなるから」
「・・・はぁ」
彼は苛立しげに指を動かした。「だからさっさと本渡してよ」
私は少し考えてから、舌をぺろりと出した。
「い や で す っ」
「はぁ?」
彼はあきらか嫌そうな顔をした。「なんで?」
「私も、一緒に行きたいから」
紫原君と。
そうはっきり言うと彼の顔が赤く染まった。
ただそばにいたいだけ。
(それって、つまり・・・)
(・・・まぁ、そうですね)