「俺さ」




俺はTVゲームをしながら、幼馴染に言った。「バスケやめようと思うんだ」




ぴたっと彼女の手が止まった。あ、マリオがピーチに抜かれた。



「・・・・・へぇ」




感情のこもってない声。



「あの俺のミスで負けたわけだし・・・それに」




俺なんかいないほうがいいからな、と苦笑する。



ふと視線を感じて、隣を見ると彼女がまっすぐな目で俺を見据えていた。



「それで?」



俺は目をぱちくりさせた。「それで、って?」



彼女は呆れたように目をぐるりと回した。「他に言いたいことは?」



言いたいこと?言いたいことならもう言った。



「特には・・・」



そう口ごもると彼女は大げさに溜息をついた。



「じゃあ言うけど、やめたかったらやめれば?」



「は?」



俺は横っ面を張られたような気分になった。



多分、彼女が予想外の言葉を言ったから。「もっと頑張れ」とか「そんなことないよ」とかそういう類ではなくて。



彼女は眉をひそめた。「慰めの言葉が欲しかったらどこか他の上辺だけの友達を当たりなさい。私じゃなくて」



ふん、と鼻を鳴らし、ゲームを再開する。




俺は面喰った。



だけど、彼女の言うとおりだ。俺は何を言ってほしかったんだ?



慰め?同情?



そんなの、願い下げだ。




「杏」



俺は彼女の肩に頭を預けた。「さんきゅ」



彼女はくすっと笑った。「どういたしまして」