栗色の髪。海のように青い澄んだ瞳。
その姿は、‘彼女’にそっくりで―――・・・。
‘それはあなた自身でしかできないことだから―――’
「アナスタシア・・・・」
20年ぶりに、その名を呟く。
アナスタシア。
長年俺の心に鎖を巻きつけた、唯一の女。
思わず手を下ろす。「な・・・んで・・・」
白ひげが肩越しに振り返り、ニヤリと笑った。「あいつは・・・・アナスタシアの娘だ」
「!!」
なん・・・だと・・・?
「クロコダイル!!」
はっと我に返ると、俺のフックを、麦わらが蹴りあげた。
さっと身を翻し、奴を見る。「・・・おれとお前の協定は達成された。なぜお前が白ひげをかばう」
「やっぱりこのおっさんが白ひげか。じゃあ手ぇ出すな。エースはこのおっさんを気に入ってんだ」
何もしらないくせに、麦わらはきっぱりと言った。いつものように、真っ直ぐな瞳を俺に据えて。
何人かの白ひげ海賊団の船員が白ひげと俺の間に割って入った。
完全に俺と白ひげは遮断されてしまった。
「つまんねぇ嘘つくんじゃねぇよ、白ひげ」
俺は歯ぎしりしながら唸った。「あのガキが、アナスタシアの娘なわけねぇ!!」
だが、俺は見てしまった。
‘アナスタシア’の髪が靡くその様を。
その澄んだ青い瞳が、俺を見据えるその瞬間を。
「本当に、ごめんなさい―――」
白ひげの部下たちが刃を向けていたが、俺はその場から動けない。
唖然と、彼女の目を見つめ、ほんの一瞬、あの頃の彼女に会えたように思う。