二人が出会ったのは、ある夏の夜だった。



その日街では祭りが催しされ、朝方までどんちゃん騒ぎが続いていた。



月の明るい夜だったということを、何故かよく覚えている。



帰り途、ある屋敷の前を通った際にバルコニーに出ていた彼女と目が合った。



その美しい容貌に、ザクロはすぐに目を奪われた。



鴉の羽のような黒髪。淡い澄んだ青の瞳。



息をつめて、彼は悟った。



こういう娘は一生かけて探しても、二度と見つかるものではない。



夏風が木立を揺るがす中で、彼女はそれほど素晴らしく欠点がなかった。



「あんた、名前は?」



思わず、言葉が口から溢れた。



ソーニャ、と彼女は答えた。



いい名前だ、とザクロは思った。強い意志を持つ女にふさわしい。



それから二人は何度も密会を続けた。



彼女はこの街一番の金持ちの娘で、宝物のように重宝されていた。



そんな家族がザクロのような貧しい男と娘が深い仲になるのを絶対に認めるわけがなかった。



「親の言うことは気にしないわ」



ソーニャは涙を流しながら言った。「あなたを愛してる、これからもずっと」



1年後、ザクロは彼女を連れ出し、二人で新しい生活をスタートさせた。



貧しかったが、二人には愛があった。



これからもこの幸せな日々が続くと思っていた。





それなのに・・・・。




「あなたの恋人は、不治の病にかかっています」―――――・・・・。






その瞬間、頭が真っ白になった。