少女は一人だった。
いつも闇の中で膝を丸めて。
その瞳は、真黒。
少女の心のように。
「まだ旅立ったへんの、お嬢ちゃん」
そう声をかければ彼女は鋭い目で睨みつけてくる。
「そろそろ、潮時ちゃうん?」
苦笑しながら隣に座ると、彼女は立ち上がった。
「わたし、には」
初めて聞いた声だった。
柔らかくて、凛としていて―――琴の音色のような響きがある。
「‘イバショ’、が、な、い」
ぽろぽろと溢れる黒真珠の涙。
僕は手を伸ばしその黒い涙を拭ってやった。
「居場所はな、お嬢ちゃん」
俯き、拳を握りしめている手を見ながら言った。
「あるものやない。探すものや」
顔を上げたその表情は、
昔の彼女そのものだった。
強くて、光り輝いていた―――昔のきみに。
Not Being There,
Just Finding.......