「はぁ――~」
私は大きな溜息をついた。
大丈夫よ、と自分に嘘をつく。大丈夫なわけないのに。
意を決して教室のドアを開けようと手を伸ばすが、記憶がフラッシュバックして思わず踏みとどまってしまった。
「うざいんだよ」
やめて・・・。
「あんたなんか死ねばいいのに」
ぎゅっと目をつぶると我慢していた涙が頬を流れた。
怖い・・・。
自分を守るように蹲る。
私がなにもかも悪いのに。
弱虫。
過去を切り離すこともできないの?
「ふぇ・・・・っ」
涙がぽろぽろと床に落ちる。
また、あんなことが起こるのかな?
そう思うと、どうしてもこの扉を開けられない・・・。
その時。
「真珠?」
名前を呼ばれ、顔を上げると・・・・。
「・・・・・木吉、くん?」
涙で視界がぼやけていたが、彼の声に間違いない。
「大丈夫か?」
そう言って私の顔を覗き込む。
心配そうな表情。
私は頷いた。
嘘が口癖みたいになってきた。
「ほら」
差し出された大きな手のひら。
掴まれ、ってことなのだろうか。
恐る恐るその手に指を滑り込ませると軽々と抱きあげられた。
ひゃ・・・・!
とん、と足が床に着くまで私の心臓は激しく波打っていた。
「あ、ありがと・・・」
ぺこっと頭を下げると彼は爽やかに笑って私の頭をくしゃっと撫でた。
扉を開け、手招きをする。
「おいで」
そう言われ、自然と動き出す私の足。
何故か、彼の後ろにいると安心する自分がいる。
彼の私を包み込む優しさに触れた気がした。
指の先で、そっと。
優しさ
あとがき
彼女の背景を言いますと・・・。
名前は都姫 真珠。(みき しんじゅ)
高1のとき木吉の同級生でした。
しかしながら彼女はいじめられていました。
そして久しぶりに高校に来たのです。