「あ、あの子めっちゃ可愛い」



突然、春日がたまたますれ違った女を見て言った。



岩村もつられて振り返る。




すらりとした体躯、長い金髪の髪、輝く瞳。



飛びっきりの美人だ。




「・・・・春日」



たしなめると春日は肩をすくめた。「はいはいー。目前の試合に集中しまーす」



「ははっ!ほんと春日先輩って女好きですよねー!」



「・・・・・・・・・・津川、何気傷つくからやめて」



この1年はなんでこう、空気が読めないんだろう、と思う。



一応先輩なんだけど。



「やっぱ俺アピールしてくるわ~」



見てろよ、津川。



俺は女好きなんかじゃない。女がよってくるんだ。



岩村が止める声がしたけど無視して彼女に近づく。



「ねぇー君~」



声をかけると、彼女は顔を上げた。



やっば・・・近くで見るとさらに美人。



もろタイプ。



彼女はころころと笑った。「はい?」



あ~多分彼女も慣れてんだろうな、と思いながら壁に寄り掛かる。



「誰か待ってるの~?」



「ええ。知人を」



そう言って彼女がポケットの中から煙草を取り出したので俺はぎょっとした。



同い年かと思ってたのに・・・あっら~。



「・・・あのさ、きみ年は?」



「16歳」



げ。年下。


ってか16歳でタバコとか、やばくないか?



「16歳でタバコはだめっしょ~」



苦笑してみせると彼女は肩をすくめた。「私、ヒッピーなの」



ああ、なるほどね~。



いや、それでもだめじゃん。



ちょっと変わった子だけど・・・魅力的だ。



多分、人を引きつける力が備わっている。



「それで」



彼女はにやりと笑った。「私と寝たいの?」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?



俺は目をぱちくりさせた。



初対面の男に向かっていう言葉か、それー?



「きみ積極的だね~~」



動揺を隠すように笑うと彼女もクスッと笑った。



そして腕を伸ばして、俺を引き寄せる。



不思議と、悪い気はしない。



もう少しで唇が触れる―――その時。




「霜月」



ぱっと彼女が離れ、口元に弧を描いた。



顔をあげるとキセキの世代の一人、緑間 真太郎が立っていた。



もしかして、さっき言ってた知り合いー?



はっきり言って、すごく意外だった。



ってかもしかして彼氏じゃないのー?



ちょっと似合わないかもしれないけど。



「あーあー。お楽しみの最中だったのに」



そう言って彼女は髪をかき上げ、唇を尖らせた。「保護者が来ちゃった」



ごめんなさいね、と俺にぺこりと謝る。「続きはまた今度」



どこか中断されたのが嬉しそうなのは気のせいかなー?



緑間は呆れたような表情を浮かべている。



「どうせまた誘惑したのだろう」



「あったり~だからあなたって好き」



「ふ、ふざけるな!!」



赤面する保護者とやらを無視して、彼女は俺を振り返った。



そしてにっこりと微笑む。



まるで太陽のような、明るい笑顔。




「行くぞ」



「はぁい」



手を引かれながら歩く彼女の後ろ姿を見ながら俺はクスっと笑った。



ただの勘かもしれないけど、多分その約束は一生果たせないだろうねー。




ただの勘だけどさ。







勘だよ、勘。




(あー、やっぱ春日先輩振られちゃいましたねー)


(津川・・・それあいつの前で言ったら殺すぞ)







あとがき


最後あたりヤバい・・・・っ不満