彼女は男女年齢問わず誰にでも好かれる。もちろん、俺以外で。
気さくで、頭がよく、面倒見もいい。
誰に対しても優しく接する物腰は、先公からも感心されている。
中身だけでなく、顔も整っており、彼女の澄んだ目はいつも前だけを見据えている。
いわゆる、完璧な人間性を持ち合わせた高潔な女子高校生。
尊敬や嫉妬の目がたまに向けられるが、最終的には彼女への愛情が芽生える。
そんな彼女の人生を、俺は何年も見てきた。
ガキの時の彼女は人見知りが激しく、いつも俺の後ろに隠れていた。
だが今は違う。
二人だけの世界は終わり、彼女には俺の背中が必要なくなった。
今では彼女はスターだ。
逆に俺が彼女の後ろに立つようになった。
世間の目に怯える彼女を、俺は守ってやりたかった。
たった二人で世界を相手にしようとするなんて馬鹿げたことかもしれない。
だけど――――本気で思ったのだ。
二人なら、重くのしかかる悪意や妬み、苦しみを幸福に変えれると。
二人で一つ。
そう思ったのは俺だけだったのか。
彼女は俺の手から零れおち、消えてしまった。
俺に憎しみと悲しみ、そして愛おしさを残して。
だから俺は決めた。
愛より、果てしない憎しみを育てよう。
そうすれば、もう二度と血迷った選択はしない。
俺は彼女を愛し、そして憎んでいる。