――――ひた。
その足音は、静かに扉に向かっていた。
彼女が歩くたびに、床に広がっている赤い血が跳ねる。
扉の隙間から光が漏れ、この暗黒の世界に一筋の光を当てていた。
―――ひた・・・。
彼女の足音がとまる。
扉の前には、真黒なコートに身を包んだ巨漢が、彼女を見つめていた。
「―――――服はいるか?
アナスタシア」
―・・・クス。
「いいえ。必要ないわ、マゼラン」
そう言って彼女は漆黒のローブを身に纏った。
「―――まさか約束を守ってくれるなんて思わなかった」
ゆっくりと髪をかき上げ、深い青の瞳をのぞかせる。
「――――警備員を殺すなんて約束になかったはずだが?」
「そんな約束もしていないはずよ」
マゼランは眉を上げたがなにも言わなかった。
「でも」
ありがとう。
そう言って、彼女はマゼランの頬に軽く唇を押しつけた。
「―――――貴様は知っていたのか?これから起きる、最悪の出来事を」
昔。
女は確かに言ったのだ。
20年後、私は眠りから覚める、と――――――・・・・・・・。
そして、20年がたった今、彼女はこうして目の前にいる。
全てが変わろうとする、この世界に。
「――――さぁ?」
彼女は口元に笑みを浮かべた。
「それは――――――神のみぞ知ることよ」
そう言って、彼女は大きく扉を開けた。
風が吹き上げ、その長い漆黒の髪を揺らす。
彼女は待っていたのだ。
全てが闇に包まれる、この時を。
あとがき
アナスタシア登場
名前:アナスタシア
異名:深海の魔女
年齢:不詳(見た目:26歳)
身長:169センチ
能力:未来を予知できる
