虫の知らせ、風の向き、雲の流れ。



不気味なまでの、静けさ。



それは、嵐の前触れ。











白ひげ海賊団甲板では今宵も宴が繰り広げられていた。



「返してよ、サッチ!」


ダフネはサッチから酒瓶を取ろうと手を精一杯伸ばしながら叫んだ。


「とれるもんならとってみろ」


ぺろっと舌を出すサッチ。


そんな二人の光景を見て周りはゲラゲラ笑っていた。


「返しててっば!」


そう言って地団駄踏む。


「やだ」


サッチがにやりと笑うとダフネは頬を含まらせ、くるりと背を向けつかつかと歩きだした。


「あれ?」


いつものように喚くことを期待していたサッチは目をぱちくりさせた。



「なんだ、あいつ。あきらめはやいな」



ぽりぽりと頬をかく。


すると余興を見ていたエースとマルコが首を振った。



「いや、それは」



「ないよい」




その瞬間。



ダフネが勢いよく走り込んできたと思ったら勢いよくサッチにト突進してきた。


防ぐすべもなく、サッチとダフネは一緒に倒れこんだ。


バリンという音とともに。



むくりと体を起こした二人は酒にまみれになっていた。


「馬鹿ダフネ」


サッチはコツンとダフネの額を拳に当てる。



「へへッ」


にやっと無邪気に笑い、サッチの耳を甘えるように噛む。



苦笑しながらサッチはダフネの髪を撫でた。



その兄と妹のような姿に周囲は温かく見守っていた。































まさかこの時が




最後になるとは




まだ誰も



気づいてなかった。











あとがき





サッチ―――――!!!!