「で、あいつはお前にどこまで話した?」
白ひげはまた手短にあった酒瓶を手に取った。
「父親が・・・」
そう言って口ごもる。「あいつを捨てた」
白ひげは顔をしかめた。「あのバカ娘、俺に全部話せるつもりだな」
そしてゆっくりと口を開く。
「これから話すことは俺と出会う前のあいつの話だ」
あいつはあんまり話たがらないがな、と呟く。
「あいつは北の海の、ちっぽけな街に生まれた。父親は元海軍で、結婚したと同時に退兵して酒場の店主になった。
そんなに父子がまとまったわけではなかったが、普通の家庭と同じぐらい平凡なものだった。あいつの15歳の誕生日までな」
エースは眉をひそめた。「15歳の誕生日まで?」
「ああ」
そう言うと白ひげはため息をついた。
深い、深いため息。
「その日、ある事件が起こった」
白ひげの目に悲しみが浮かぶ。
「あいつは、一人で自分の住んでた街の人間を全員――
殺したんだ」
それは
ありえない事実。