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「パンチ」って知っていますか?
フルーツをソーダなどに浸したフルーツ・パンチ(フルーツ・ポンチ)は有名ですが、その原型がパンチです。英語では単にパンチと言う場合もフルーツ・パンチのことを含みます。
カクテルにも「プランターズ・パンチ」など「パンチ」と呼ばれる種類がありますが、
それだけではなく、パンチは現在のカクテル全体の源流ともされています。
カクテルが広がり始めたのは19世紀初頭のアメリカからですが、
パンチはその前世紀である18世紀にはすでに作られていました。
当初のパンチは五種類の材料、スピリッツ、水、砂糖、レモンジュース、スパイスをミックスしたもので、
材料が五種類であることから、
「5」を意味するヒンディー語(panch)、ペルシャ語(punji)、サンスクリット語(pancha)
などを語源としてパンチ(punch)と名付けられたのです。
(他に、ラムを入れておく「パンチョン樽」が語源という説もあります)
パンチは、それら五種の材料を大きなパンチ・ボウルで混ぜて作られ、
渦巻き状にむいた柑橘類の皮を縁に飾って作りたてのしるしとしていました。
これが、現代のカクテルでレモンの皮などを飾ることにもつながっています。
( Cocktail Horse's neck 2 by Plume.janvier / licensed under CC BY-SA 3.0 )
パンチは18世紀のイギリスで流行し、パーティーなどで人が集まる際に供されるようになりました。
元々はココヤシから作る蒸留酒であるアラック酒が使われていましたが、
入手性の高さからラム酒を使うことが一般的になり、ソーダ、シャンパン、ワインや、
各種のフルーツを加えるなど、バリエーションも拡がりました。
その一方でパンチを供する酒場では、スピリッツ(主にラム酒)をベースとした数々のミックス・ドリンクも生まれ、
後にカクテルとして拡がっていったのです。
もちろん、すべてのカクテルがパンチを基にして生まれたわけではありませんが、
ミックス・ドリンクの文化を生み、育ててきたという面で
パンチのカクテルの源流としての役割は大きいと言えます。
参考:
Wikipedia
「新版 世界の酒事典」 稲保幸著 柴田書店 1982年
「カクテルの歴史」 ジョセフ・M・カーリン著 甲斐理恵子訳 原書房 2017年