憧れの島、甑島に行ってきました
「甑島」って、皆さん知っていますか?
「こしきじま」と呼びます。上甑、中甑、下甑の3つの島からなっており、まとめて甑島と呼んでいます。
鹿児島県の西、熊本県の天草の南にあり、ドラマのロケ地が与那国島だったので「ドクターコトー診療所」と言えば与那国島と思っている方もいますが、原作ではこの「こしき島」がモデルになっています(漢字はたしか違ったはず)。
この島は断崖絶壁に囲まれており、黒潮の分流があたり潮も速く、東シナ海のうねりを大きく受けるためなかなか条件が良い時は少ないようですが、魚が豊富で島の人たちもそれほど観光に依存していなく、素晴らしい島旅ができるところだと、島旅マニアの間では有名な島です。
そんな甑島、類もれず僕も「いつか行ってみたい島」と思っていました。
魚突きをする友人たちからも「あそこの魚影はヤバい!」と言われ、カヤックを漕ぐ仲間たちからは「あそこの地形はすごい迫力だ!洞窟だらけだぞ!」と言われ、是非ゆっくりと長期間かけて楽しみたいと思っていました。
今回、福岡のサザンワークス松本さんと遠征計画をひねりだし、氏の呼びかけで何名かのプロカヤッカー、アウトドア関係者たちが集まり一週間かけてこの島を周ることになり、僕もやっと憧れの甑島に、素晴らしいメンバーで行くことができることになりました。
◎SOUTHERN WORKS サザンワークス:http://www.southernworks.com/
と、ところが今年は記録的な長雨。。。
沖縄はとっくに梅雨明けしたというのに南九州はいっこうに雨がやまない。鹿児島は6月、3~4日しか晴れ間が出なかったというから困ったもんです。
しかも、台風3兄弟の来襲・・・!
これで集合当日に関東から来るメンバーは参加中止。一時は今回は延期か!?という空気になりましたが参加者の一人はすでに甑島に入っており、僕もじつは早めに鹿児島へ行っていました。そして福岡の松本さんが来ることになり、台風が来るであろう日程より早めに切り上げるということで、とりあえず甑島遠征は決行されたのでした。
普段、「自然はどうしようもないですから、何とでもなる気持ちでツアーに参加してください」とか、「台風も沖縄には必要な自然現象ですからネ」などと言っている自分ですが、
正直、台風なんてクソ喰らえだ!!
と、素で思いました(笑)。やはりどうせなら最高のコンディションで楽しみたいですよね~・・・。
結果、3泊4日の甑島の旅になったのですが、この模様はブログに書くにはもったいないのでホームページのコラムにまとめたいと思います。
これからオンシーズン。忙しくなるので書けるかどうか、何時発表できるのかわかりませんが…がんばって書きたいです。
とりあえず、簡単に写真を並べてダイジェストで旅の雰囲気を感じてください
初日7月6日。上甑島里港に到着。川内港を朝8時50分の高速船に乗れば9時40分には到着です。松本さんは朝の新幹線で博多から来ています。便利ですね~新幹線。
到着時は雨が上がり、歩いて10分ほどのところにあるヤマト運輸の事務所に行ってあらかじめ送っておいたフェザークラフトとキャンプ道具を受け取り、目の前の浜から組み立てて出発。利便性は最高です。
前乗りしていた南伊豆サーフェイスの武田さんと合流してからの出発です。
ちなみに武田さんとは初対面。そして武田さんは今回上甑島2周目に入ります・・・。
◎SURFACE サーフェイス:http://www.the-surface.com/
出発したらいきなり雨が復活。キャンプ予定地についても雨は止まず、むしろ大雨。屋根の下も水浸し。屋根はあっても水はけ悪し。
「こういう時、お客さんいなくて良かった~」
プロガイド3人でそんなこと言いつつ、この劣悪環境を楽しむ。
7月7日。この日は曇り。南東の風。
中甑島と上甑島の海峡を越えると、二人は追い風に乗って漕がずにスイスイ進む。
あのセイル、いいな・・・。
◎Pacific Action Sails :http://www.southernworks.com/tetsu/pacific-action-sails.html
上甑島北西部の断崖絶壁には長雨で多くの滝が現れ、まるでニュージーランドのフィヨルドランドのような景観だった。最高~。
途中上陸して潜る。
武田さんはカヤックフィッシングでアカハタ入れ食い。実際潜るとアカハタがそこらじゅうにいる。
でも一匹突いたらとんでもなくでかいサメがやってきて赤塚、ビビりあがる・・・。ゆ、豊かな海ですね~。
お手頃サイズの魚、よりどりみどり。今回はこのへんにしといてやろう。
ゴロタ浜のワイルドビーチでキャンプ。その辺に落ちてる竹をポール代わりにし、タープ張ってまったりタイム。タープがあれば何でもできる!即席事務所で事務仕事を片付けるビジネスマン武田さん。
「焚火がしたい!」
と、最初はみんなで言っていたのにストーブで各自料理を作り始めたらタープから出るのが面倒になってそのまま夕飯、晩酌。お互い好き勝手やるので楽です。
3日目。7月8日。晴れた!やっと晴れた!!
ひたすら一週間雨の中島を周っていた武田さん、あまりの太陽の嬉しさに夏を先取り。
昨夜の晩飯をすべて一つの鍋に入れ、ごった煮にして朝食。
旨味のかたまりに3人押し黙って黙々と食べるの図。美味い魚のあらは蟹以上に会話が成り立たない。
ゴールまではわずかだったけど、それでも晴れた青空の下、最後のカヤッキングを楽しみ里の西浜に上陸。ここで2人はカヤックを分解して里港まで運んで帰ることに。
僕はまだ時間があるのでもう少し甑島に滞在することにした。台風9号の影響でどの道、島に帰れない状況だったのである。
何故か乳母車に見えてしまうのは、僕だけでしょうか!?
すぐに港まで行けると思っていたら、意外に複雑な道。迷う。そしてどこの港町もおばちゃんは親切です。
2人を見送った後、僕は独りで残りの上甑島のパートを漕ぎ、キャンプ場に泊まるつもりだったが、まだオープンしている様子はなく、シチュエーションもイマイチだったのでそのまま東海岸を南下。
台風9号の影響で南からうねりが入っており、海岸線は波濤がすごい。海は濁り、砂浜にはサーフが巻き、翌日の出艇を考えると良いキャンプ地がない。結局19時過ぎまで漕いで先日泊まった屋根のある公園まで行く。
今回忘れ物が多く、一つは虫除けスプレーおよび蚊取り線香。
西表島では海岸でキャンプする限りあまり必要ないのだが、内地では必要ですね。恐ろしい数の蚊の襲撃を受けました・・・。そしてもう一つが箸。手ごろな枝がなく、この日はペグが箸に。まぁ、何とかなります。ツアーじゃないから。。。
4日目。7月9日。
出発して再び海峡を越え、今度は中甑島の西海岸を南下して下甑島の東海岸に渡り、下甑島の玄関口、長浜港を目指しました。
南東からの台風のうねりは昨日にまして強さを増していましたが、西側はベタ凪で中甑島の西側の絶壁を堪能しました。浜があって上陸し、滝に打たれたりと、それまでにない青空の中、最高に気持ちが良い!雲のかかる幽玄な雰囲気も良かったですが、晴れにはかないませんね。
中甑島と下甑島には現在橋が架けられようとしており、それを知らなかった僕は現場を見てびっくり。
潮流がけっこう複雑で、島渡りは結構難儀しました。そして東側に出るとやはりうねりがデカい。あまり海岸に近寄ることもできず、洞窟探検もままならずひたすら南下して長浜を目指します。
芦浜にあるキャンプ場で一泊する予定でしたがサーフがきつ過ぎて上陸するのがおっくうだったのでそのまま長浜港へ。民宿に泊まり、明日午前中島の西側にバスで行って潜りを楽しみ、午後の便で帰ろうと思っていたのですが解体中に駐在さんが寄ってきて、「明日はフェリーが欠航するかもしれないから」と、忠告してくれ、散々迷ったあげく・・・。その日の最後の高速船で鹿児島に帰ることに。
結局ソロの旅も1泊2日で終わり。3泊4日の甑島カヤック旅となりました。
長浜のターミナルにある食堂のカツカレー。大ボリュームで大満足です!島にはカノコユリがちょうど満開で見ごろを迎えていました。何故甑島にある蔵元、塩田酒造の銘柄「六代目百合」が「百合」なのか、理解できました。
甑島は上陸できる場所もごく限られ、条件がそろわなければなかなかカヤックを漕ぐ場所としては難しい難易度の高いフィールドだと思います。今回は梅雨前線の真下にあったため雨には苦労しましたが、おかげで風に悩むことはさほどなかったです。後半の台風のうねりもなければ、ベタ凪の最高のコンディションだったと思いますが、やはり長期間を万全な状態で漕ぐというのは難しい物です。
カヤックを漕ぐ修練を積み、その価値を見出せるフィールドが日本にはまだまだいっぱいあることに武者震いが起きます。そんな場所を楽しむためにも、自分の技能を高めるため、もっともっと漕ぎこみたいと思う一人のカヤッカーでした。
次回、下甑島かならずリベンジ。漕ぎに行きます。