DDifaの育成に携わらせていただいている行木龍武(なめきたつむ)です。
いきなりですが、DDifaの中で毎週恒例になっているイベントがあります。
それは
「一発芸大会」
です。
なんでやねん。と思うかもしれません。僕も文字を見ただけではそう思います。
しかしこれには壮大な裏テーマがあります。
自分を覆っている見えない世界から一歩外へと踏み出すこと。
生きていく上で無意識の中で自分の世界が段々と形成されていきます。それはどんな人にも必ずあります。周りの環境や経験によって異なり誰一人として同じものは持っていません。そして、人や外の世界とあまり関わらないと段々とその世界が固く小さくなります。哲学的と思われるかもしれませんが、価値観の違いなどはここから現れていると思います。
そんな世界を大きく柔らかくそして宇宙にまで連れていってくれるのが一発芸なのです。
数秒、下手したらコンマ何秒の世界で周りの空気を一変させる(いい空気になる場合と悪い空気になる場合がありますが)。視線、指先の動き、声の質、大きさ、タイミング、などなど枚挙にいとまがありませんが、とことんまで極めることができます(僕自身が勝手に思っていることです)。
その一発芸大会が始まったきっかけは定かではないですが、駄洒落が流行り始め、それが転換したのだと思います。
毎週末に行われ、一発芸の中での順位もあったりと、なかなかに発展しています(決してお笑い養成所ではありません)。
前までは何かきっかけがあってエントリーが開始されましたが、今では選手たち自らが今週やらないんですか?みたいな勢いできます。
ある一人の選手はその大会に参加することがありませんでした。大会が始まりそうになるとそそくさと自分の部屋に戻り、やる?と声をかけてもささっといなくなってしまいました。
そんなある平日の昼ごろ。僕が食堂でご飯を食べているとその選手が僕の肩を叩いてきて、言いました。
「たつさん。一発芸やるわ」
口に運びかけていたご飯を落としそうになりながら目を丸くして彼のことを見つめました。
そして彼は体制を整え、一発芸を始めました。
彼の思いっきりの良さと芸の完成度に圧倒され、目が飛び出そうになる程僕は瞼を広々開いていました。
人生で初めて一発芸に感動しました。
本当に信じ難いことではあるのですが、その日からの彼のプレー面と生活面での成長は飛躍的でした。
怖いもの知らずで、自分よりも大きな選手に体を思いっきりぶつけ、フィールドで戦うことができるようになり、私生活での笑顔が増え前よりも多くの明るいエネルギーが彼から発せられるようになりました。
そんなことあるわけない、と今までの僕だったらそういっていたと思います。しかし実際に体験して目の当たりにしてしまうと、もう疑う余地はどこにもありません。
彼はあの一発芸をやった時、すごく大きな勇気を振り絞ったと思います。自分の嫌なこと、心地いいところから足を出すことは簡単ではないからです。
でも、そこで一歩踏み出す覚悟を決めて、それを実行する。その心意気の大切さを僕は学ぶことができました。
どんどんと成長をしていく彼らに置いていかれないように、僕も新しいこと、難しいこと、嫌なことから逃げずに立ち向かっていきたいと思います。