どうしても行きたいところがあったからだ
それは 武蔵小杉駅から ほど近いところにある
ステーキ チェーン店
ステーキの あさくま
である
ここで どうしても食べたいものがあったのだ
そのメニューとは これ
学生ハンバーグ だ
なぜ 中年のオッサンが 「学生ハンバーグ」 なのだ?
それには ちょっとわけがある
大学生時代は 京都で一人暮らしをしていた
もちろん貧乏暮らしである 家賃1万円の とんでもなくボロい部屋に住んでいた
野球部の練習が終わったあと 若い男たちは とってもお腹が空いている
しかし お金はない 当然 後輩たちにおごってあげる お金もない
そんな時 この 「あさくま」 は とっても使える店だった
ステーキの店なので 少し高級感がある
そんな中で 学生ステーキ (学生ハンバーグは当時は学生ステーキという名前だった) は 590円で ライスを一緒に頼んでも 740円であった
おまけに ライスは おかわり自由 であった
空腹の若者たちの胃袋を満たすには 最適である
よく 練習後 同級生や後輩たちと この学生ステーキを 食べに行った
後輩たちに 「今日は俺たちのおごりだ ライスはおかわり自由だ 腹いっぱい食っていいぞ!」 と言うことのできる 数少ない店であった
クラブの帰りや 医学実習のあと 同級生たちと よく食べに行った
ライスの おかわりばかりして ずいぶん 店に迷惑をかけた 平均5~6杯はおかわりしたものだ 社会常識の無い学生たちであった
それからしばらくして この行きつけの ステーキのあさくま の京都の店は閉店してしまった (自分たちのせいでは 無いことを祈っている)
その後 この学生ステーキを 食べられなくなって 20年ぐらいたった
東京に越してきて ついに見つけた あの懐かしい店
今でも あさくま に行くと 注文するのは
この 学生ハンバーグ である
名前は変わっても 味は昔のままだ
(しかし値段は とても上がっている)
どうせ 名前を変えるなら 「学生」 は やめてほしかった
中年のオッサンが注文しにくいではないか!
若返り手術をうけて Tシャツにジーンズで行かないと注文しにくいではないか!
しかし 学生ハンバーグ 以外は 注文したくない
この学生ハンバーグと一緒に 飲み物は 「ぶどう液」 を注文する
飲み物は この 「ぶどう液」 でなくてはならない
学生時代には出来なかった ぜいたく だ
あの頃が ついこの間のように 思い出される
みんな元気にしているだろうか?